第37話 戦争に敗れ、ホセ・ラケル・モンカダ将軍は銃殺される

195ページまで読んだ。


 ホセ・ラケル・モンカダ将軍がふたたび軍服を着用し、マコンドの市長兼司令官の地位に就いた。やがて、アウレリャノ・ブエンディア大佐が帰国しているという噂が聞こえてくる。最初はうわさを信じなかった将軍も、大佐が沿岸の二州を占拠したという政府の発表を受けて、大佐の帰国をウルスラに告げる。


 ――おめでとう、おかあさん。間もなくここへ戻ってきますよ。

 ――で、あなたはどうなさるの。

 ――大佐と同じですよ。自分の義務を果たすだけです。


 やがて、アウレリャノ・ブエンディア大佐は装備の十分な千名の部下を率いてマコンドを攻撃した。守備隊よりも戦意の高い反乱軍の士気にホセ・ラケル・モンカダ将軍は負け戦を確信する。将軍はマコンドからの脱出を計るが、反乱軍に捕まり軍事裁判にかけられる。


 裁判では、アウレリャノ・ブエンディア大佐の母親であるウルスラと反乱軍の将校の母親たちが、敵であるホセ・ラケル・モンカダ将軍に味方した。


 ――このマコンドでいちばん立派な支配者だったわ。あの人は。

 ――あんたがいちばんよく知ってるはずよ。心の優しい人で、わたしたちをとても愛してるのよ。

 ――あんたたちは大まじめで、こんな恐ろしい遊びをやっているのね。義務を果たしてるつもりなんだから。

 ――でも忘れちゃいけませんよ。生きているうちは、わたしたちはいつまでも母親だってことを。革命家だか何だか知らないけど、少しでも親をないがしろにするようなことがあれば、そのズボンを下げて、お尻をぶつ権利があたしたちにあるってこともね。


 しかし、母親たちの意見陳述もアウレリャノ・ブエンディア大佐の心を動かすことはなかった。ホセ・ラケル・モンカダ将軍は死刑判決を受ける。死刑執行の前にアウレリャノ・ブエンディア大佐は、将軍の部屋を訪ねる。


 ――これだけは覚えておいてくれ。あんたを銃殺するのは、わたしじゃない、革命なんだ。

 ――わかっていると思うが、戦争裁判なんてみんな猿芝居さ。


 ホセ・ラケル・モンカダ将軍が取り乱すことはなかった。


 ――この調子でいくと、あんたは、わが国はじまって以来の横暴かつ残忍な独裁者になるだけじゃない。あんたの良心の呵責を少しでも軽くしてやろうとしている母親だって、銃殺しかねないぞ。


 しかし、アウレリャノ・ブエンディア大佐もひるまなかった。


 ――もういい。連れていけ。


 彼は命令した。



 軍事裁判で、ウルスラがアウレリャノ・ブエンディア大佐を諫めるセリフと、銃殺を執行する前に大佐がホセ・ラケル・モンカダ将軍とするやりとりが印象的。すべてのやりとりをここに引用したいけど、そういう趣旨の日記じゃないのでこれくらいにしときます。

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