第40話

「いらっしゃいませー」




なんとか仕事を目標まで終わらせることができ、ご褒美にといつものカフェに来ていた。




クリスマスだけど、21時過ぎで、ターミナル駅から離れた立地だからか、お気に入りのカフェは待つことなく席に案内された。




いつも通り、注文したものが届くとカーテンを閉めて、半個室を楽しむ。




まずは、綺麗に盛りつけられたプレートにスマホのカメラを向ける。




毎回、1枚だけ、と決めて集中してシャッターを切る。




夜ご飯代わりのキッシュプレートと、デザートにはガトーショコラ。




これで十分、クリスマス感を味わえている。




お行儀悪いけど、気になっていたSNSを再び開く。




ファンの人がたくさんコメントを残していて、ライブが無事に終わったことを知る。




サンタさんの恰好で登場したとか、アンコールでサインボールが投げられたとか、書き込みからどんなライブだったのかを想像しては、わくわくしていた。




行ってなくても楽しめるライブって、すごいなぁ…




そんな風に思いながら、ガトーショコラの最後の一口を味わう。




と、スマホが震えて、メッセージの受信を知らせた。





<h:今どこにいますか?会えませんか>





『え…』




メッセージを読んで、思わず声が出た。




どこか余裕のない、緊急を思わせる文面に、急いで返信を打つ。




<にしおり みお:海浜駅近くのカフェにいるよ>




送信ボタンを押すと同時に、既読がついた。

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