第11話

周りの人が席を立ち、階段を上がって出口へ向かう中、急いで荷物をまとめる。




このまま出口へ、とも思ったけど、最後に目に焼き付けておこうと、階段を降りて1列目まで行く。





撮影禁止なのが悔しいくらい、綺麗な眺めだ。





1列目から見下ろすステージは、何も遮るものがなくて、広い。





そこに4人が立っていたとは思えないくらい、広く感じる。





まだステージに残っている花びらが、たまに風で動くのが見える。





…撮りたい。





柵にもたれて、じっと、心に焼き付けるようにステージを見ていた。





1階席もほとんど人が残っていなくて、楽しい時間の終わりを告げている。





……帰ろう…





来たときとは反対に、重い足取りで出口へと向かう。




さっきまでの満たされていた気持ちは、どこか遠くに飛んで行ったような、寂しい気持ちに変わったような…




ライブって、こんなにすごいものだったっけ?

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