[蘇生]スキル持ちだと思われ”聖女様”と聖域に呼ばれていましたが、実は[組成]スキルだと発覚して対応が一変しました……しかも俺は男です。

新山田

第1話 異世界転生と自分とスキルと

平凡な人生が幕を閉じ、

新たな非凡な人生が幕を開けた。


なかなかいい顔立ちの少年として生まれた。


意識を持つ頃には両親はなく、

ルミナリアと呼ばれる宗教組織が運営する孤児院に生活することになった。




5歳の頃に受ける”神からの祝福スキル”鑑定の儀。


鑑定の儀──”祝眼”スキルを持つ神官が孤児たちを鑑定する身体測定のようなもののようだ。この時まで名無しだった場合は、ついでに名前まで授けてもらえることになっている。


ちなみに僕は名無しだ。


祭事を務める神官は、

とても美しい澄んだ空のような目をした女性。

エメラルドのように輝く髪がいっそう魅力を引き立たせていた。


神官の女性に見つめられなんとなく気恥ずかしさを覚えていると、

今世の僕の人生を決定づける出来事が起きたのだ。



「院長さま!こ、この子、スキル持ちです!」

「おおそれは素晴らしい、でどんなモノを持っているのですが?」

「そ、それが、そ、そ、そ」

「……そ?」

「そ、[蘇生]持ちでございます!」

「なんと……!?」



当の本人である俺そっちのけで話は進み騒動へと発展したのち、

ルミナリア聖域指定高位聖堂院と呼ばれる仰々しい場所で住むことになったのだ。



「聖女さま、お待ちしておりました、どうぞこちらへ」



馬車に揺られること3日ほど経ち、

ようやく目的の場所に辿り着いた。


目的の場所──つまり新しい住まいは白を基調とした大きな建物で、

なかに入ってみると色とりどりの花が咲き乱れとてもいい香りが全体を漂っている。


修道女さんたちもみんな穏やか顔で、

貴重なシルクの素材で出来た白い修道服に身を纏っていた。


そんな素敵な匂いのする修道女さんたちに手を引かれ奥へと連れられ、

辿り着いたのはなんと男子禁制の聖域だった。


修道女さんたちの口から受けた説明から、

ここが聖域中の聖域”無垢なる蓮華廷”と呼ばれるところだとわかった。


ここは先ほどよりもより落ち着くようないい匂いが充満している。



「ちょ、ちょっと修道女様。僕は男ですよ!?」

「なにをおっしゃいますやら、それほど可愛いお顔の男児がいるものですか」

「ほんとに……いままで自分を偽らなければ生きていけなかったのですね」

「お痛わしや聖女様……でももう安心です」



確かにこの顔は、

自分でいうのもなんだがとても奇麗な顔立ちをしている。



「も、もし僕が男だったらどうなるんですか?」

「「「「ソコを切り落としたのちここから追い出します」」」」



それはそれは、恐ろしい目をして宣言された。



「はーい、こちらはお風呂場になります」

「え!?」

「それでは聖女様、服を脱がさせていただきますね」



優しい笑顔を向けている4人の修道女たちが手が伸びる。

なんて夢のような状況だ!、と喜んでいたいところだがそうもいかない。


……なぜなら僕にはついてるから。

このままいけば切り落とされるから、それはマズい。



「ち、ちょっとトイレに行ってきます!」

「あらあら」

「うふふ、お供します」

「い、いいですから!」



4人の女性の手を強引に振り解き、

大きな浴場前を抜け、用足し場に駆け込んだ。



「ど、どうしよう」



なんとか抜けてきたもののどうしよう。

いっそここで自分で抜くか……。


……いやいやそんな冗談を言っている場合じゃない。



こんなことになるなら、[蘇生]スキルなんていらなかったのに!

もっと別の……女性にでもなれるようなスキルであれば良かった!



「ん……?」



なんとなく両手で体に触れる。

すると突然ウィンドウ画面が開いた。


「なにこれ……そせいスキル?」


記載されたスキル名には[組成]とあった。

そしてその上にポップ画面が表示されていた。



キャラメイク変更しますか?



する、する!絶対する!

ポップアップが非表示されキャラメイク画面に移る。



「こんな……感じで、ここを、こうして……」



なるべく姿を変えずに女児の体を修正していく。

[完了]のボタンを押す意識で浮かべると……。


……急激な変化が体に起きた。

驚いたことに、本当に女性の体になったのだ。



「え……ウソでしょ」



ソコに触れてみるとたしかに消滅している。




その時はじめて自分に宿るスキルが、

[蘇生]スキルじゃないことに気付いた。


──────────────────────


読んでいただきありがとうございます。


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