3月17日
第7話
夜景が綺麗に見える、高層ホテルの最上階にあるレストラン。
そこで今、俺達は食事をしている。
「ほんっと美味しいね、このお肉」
俺の左隣に座る由佳は、さっきから何度も感嘆の声を漏らしている。
その表情が本当に幸せそうで、来て良かったと俺もホッとした。
ただ、問題が1つ……。
「由佳ちゃん、ソースが付いてるよ」
そう言って由佳の口元へと伸びてきた手を、俺がすかさずパシッと払うと。
その手の主であるオッサンは、ニヤリと含み笑いを浮かべながら俺の方へと視線を向けてきた。
「男のヤキモチほど醜いモノは無いよなぁ」
めでたく、まどかさんの現恋人となったオッサンこと小島弘登…さん。
相変わらず何やかんやと由佳にちょっかいを出してくるから腹が立つ。
「あのっ、ご、ごめんなさいっ」
慌てて、由佳はナフキンで口元を拭った。
ホントだったら、そのデミソース。
俺の舌で取ってやりたかったのにさ。
「ほらほら、ケンカしないの」
ワイングラスを手にし、まどかさんは笑いながらそう言った。
彼女の俺を見る目は、以前とは確実に違う。
今はちゃんと、母親としての眼差しを俺に向けてくれている。
それはやっぱり、オッサンとの仲が戻ったからなんだろう。
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