青い後悔 アンドレア皇太子Side

 ブロンドのような赤褐色のような不思議な色の柔らかい髪。 


 貧しい家の娘だったが、今や髪にも手入れは行き届き、美しい艶があり、街一番の美容師の手によって素晴らしいカットになっていた。


 ひとめ見た時に思ったが、俺の妻は最高に可愛い。


 白く陶器のような肌のジェニファーが頬を赤らめて、俺にキスをしてくる瞬間。


 透明感あふれる肌にピンク色にほんのり上気した頬。生き生きと輝く瞳。込み上げる笑いを堪えているような、明るい幸せそうな桜色の唇。


 俺の目から涙が溢れる。

 あぁ、ジェニファー……。

 数々の思い出の瞬間が、鋭い痛みを伴って絶え間なく俺を襲う。


 もう、耐えられない。

 ジェニファーとの出会いが謀られていたものだったとは知らなかった。


「死を回避する球」「石の妖精」「鉱物に関する特殊能力」、全てがメッツロイトン家が有する魔法の能力だ。


 俺は息が止まるほどの恋をメッツロイトン家の子孫にした。そのことの意味に、最後の瞬間まで気づかなかった。


 俺は意識を手放した。

 結ばれない方が良かったのか、方法があったのか、もはや分からない。


 もう、耐えられない。

 名前も知らない青い煌めく鉱物が、俺の手の中で、その固く冷たい存在感を伝えてくる。



 俺は意識を手放した。

 結ばれない方が良かったのか、方法があったのか、もはや分からない。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る