(幼馴染)とお付き合いするまでの話
アキノリ@pokkey11.1
第一章 花束達
虹のかかる空
第1話 大切な夢
「たっくん!あそぼ!」
俺、鳩島孝(はとしまたかし)は夢を見た。
その夢はとても心地良いものであり。
とても懐かしい記憶だった。
幼稚園時代の記憶だ。
その記憶は今でも続いている気はする。
だけど唯一リアルで違う点。
それは夢の中に出た女子の名前が分からない。
そしてこの夢は時折見る点だ。
「...またこの夢か」
そう呟きながらうっすら浮かんだ涙を拭って俺は起き上がる。
それから思いっきり伸びをしてから眠気まなこを擦る。
そして俺は横を見て驚愕した。
何故なら少女が居た。
「おはよ。孝」
「ああ。お前か...夏花」
矢部山夏花(やべやまなつか)。
短髪の柑橘系の香りのする少女。
胸が大きく運動部である褐色肌の少女。
同級生であるが。
今日は部活が無いのだろうか。
「お前。部活はどうしたんだ」
「ん?今日は部活は無いかな。だから孝を起こしに来た」
「あー。それはご苦労なこったな」
「そうだよ。もう。ギリギリまで寝させたけど本当にギリギリだよ。ささ。準備して」
「はいはい。じゃあ部屋から出てくれ」
「ほーい」
そして夏花はニコッとしながら俺の頭に触れる。
俺は驚愕しながら仰け反る。
すると夏花はニヤニヤしながら俺を見た。
「あれ~?どうしたのかな?」
「揶揄うな。...いきなり頭を触られたら誰だって驚愕する」
「アハハ。だよね。ごめんなさい。じゃあね。孝」
それから夏花はそのまま漫画本を律儀に直してから去って行く。
俺はその姿に心臓をバクバクさせる。
すまない夏花。
そういう意味じゃないんだ。
そう思いながら。
☆
洗面所に行く。
腐れ男が居る鏡を覗く。
そこには腐った魚の様な目をした鋭い眼光の男が居る。
短髪の腐りきった性格の。
俺はその姿を口をへの字にしながら見る。
鏡の中の男もあからさまに不機嫌そうな顔をした。
「やれやれ。ぶっさいくだよなマジに」
そう呟きながら俺は後頭部をガリガリ掻く。
それから俺は大欠伸をしながら気合を入れる為にネクタイを締める。
そしてリビングに行くと。
焦げ臭い感じだった。
まあ普通の奴なら仰天するだろうけど。
俺はそれはない。
「うぅ...」
「お前な。またトーストを焦がしたのか。何でそう不器用なのにそんな事をするんだ」
「やれるって思ったんだもん。美味しいトーストを孝に食べてほしかったし」
「...まあ努力は認めるよ。貸してみろ」
そして俺はエプロンを受け取りながらそのまま準備をする。
手際よくトーストを焼きながら目玉焼き。
ハムとか焼いていく。
夏花は笑みを浮かべて立っていた。
関心する様に。
「えへへ。ありがと。孝」
「ったくお前な。不器用な事をするな」
「えへへ。孝大好き」
「冗談でもそれを言うな」
俺は指示をする。
冷蔵庫から乳酸菌飲料。そしてヨーグルト。
それを用意する様に。
夏花は頷きながら並べていく。
「夏花」
「うん?何?孝」
「こういうのは苦手得意分野があるんだ。だから無理はするな」
「...でも私、孝の為にトーストを用意出来る様になりたいし」
「ん?独り立ちの為か」
「ち、違うけど」
「?」
夏花は赤面で俯いて黙る。
俺はその姿を見ながら時計を見る。
うわ。時間がない。
「夏花。急いでくれ。時間が無いぞ」
「あ!」
そして俺達はそのままドタバタで準備をしながらトーストなどの料理をハムスターの様に口にぶち込みながら慌てて家を出る。
それから先に出ていた夏花と合流して俺達は駆け出す。
するとその中で夏花が呟いた。
「健康診断があって...ミーティング...4月は忙しいなぁ」
「夏花?どうしたんだ」
「な、何でもない」
また赤くなってからそっぽを向く夏花。
そういやそういう夏花の台詞で思い出したけど。
半年前にこっちに戻って来てからの初めての誕生日だな。
4月9日だが。
今日が4月3日だな。
「ねえ。孝」
「何だ」
「何でもない」
「いや何だってんだ」
「名前を呼べるのが幸せって事だよ」
「はぁ?」
そして俺達は坂の上にある水葉高校に駆け出して行く。
一気に坂を上ってから息切れしてしまった。
そのまま歩いていると苦笑している友人の渋沢智樹(しぶさわともき)が居た。
「よお。お疲れさん」
箒を直している律儀そうな少年。
だけど見た目はチャラい。
茶色の長髪にイヤリングを着けている。
うちの学校が比較的、着崩しオーケーだとはしてもやり過ぎだな。
だけど根っから良い奴だ。
「また慈善活動か」
「お前が何もしないからな。慈善活動だ。代わりの」
「そうかよ」
そうして智樹は遠くの彼方を見てから夏花を見る。
そしてまた苦笑する。
「矢部山さんもお疲れさんだな。こんな寝坊助の為に起こしに行って遅刻すれすれたぁ可哀想だな」
「そうだねぇ。それだけは賛同だね」
「オイ」
「ハハハ。だってそうじゃねーか」
俺は苦笑しながら智樹を見てから夏花を見る。
夏花と智樹は手を伸ばしてきた。
とっとと教室に行かないとな。
また山口先生がクソ煩いだろう。
この物語だが。
俺と(幼馴染)が。
最後には結ばれる物語だ。
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