第49話

授業中も玲蘭に対して、楓は隣の席から話しかける。



「雨宮さん。」



「なんですか?」




「どこまでしたの?」




「静かにしてよ。授業中よ。」




「意外に凄そうだよね。ベッドの上ではさ。」





「勝手なこと言わないでよ!!!」





玲蘭は顔を真っ赤にして怒る。

すると、クラスメイトからの視線に気づいて顔を真っ赤にする。




「雨宮、静かにしろよー。」




先生に言われて、玲蘭は下を向く。




そんな玲蘭を見て、楓はケラケラ笑っていた。






(大嫌い.......何なの、こいつ。)







伊織も楓の背中を睨んでいる。






そんな伊織をさりなは哀しい顔で見つめていた。





洋一もさりなの哀しい顔を見て、この現状をなんとかしなくては、と思い、ため息をついた。





すると、洋一のメッセージアプリにメッセージが入り、それを確認すると、閃いたように顔を上げた。





洋一は次の休み時間、さりなに話しかけた。





「さりな!」




「洋ちゃん。どしたの?」





「あのさ、Ange-roomのマスターが、今度やる対バン、また出てくれないか、って依頼してきたんだけど。」





「洋ちゃん、こんなときに、冷静に歌えると思う?伊織、ずっと既読無視なのよ?」




「こんな時だから、歌わなきゃいけないんじゃね?伊織がおまえの歌に惚れ込んでるのはたしかなんだからさ。」





「伊織がやるっていうかな?」





「言うよ!絶対。俺、聞いてみるからさ。」





「まぁ、伊織がやるって言うなら。」





洋一はうんうんと、頷いてまずはお姫様の機嫌をとった。




そのあと、伊織に対バンの話を持ち込む。




「さりなは?何て言ってんの?」



「伊織がやるって言うなら、って言ってるぜ。練習しようよ。今週土曜日、スタジオ押さえとくからさ。」




「いつもんとこ?」




「あぁ、時間わかったらまたメッセージ入れるよ。」




「おぅ。」




洋一は、よしっと小さくガッツポーズをした。

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