第47話

その頃、玲蘭と楓は人がいない校舎裏に来ていた。




「話って、何?」




玲蘭はあの噂を流した犯人は楓だと確信していたからすこし、怒り混じりに話した。




「知らなかったよ。伊織の親父、再婚したんだね。君の母親と。」




玲蘭は秘密にしていたはずのことを楓が話しているから、焦る。




「何の話?」



「高橋ちゃんとそう話ししてたじゃん。」



「立ち聞きなんて趣味悪い。」



「近親相姦のが趣味悪いと思うけど。」



「いやらしいこといわないで。そんなことしてない!!」



「本当に?」



玲蘭は昨日の夕方のことを思い出して口籠もる。




「でも、キスはしてたじゃん。すっごく嬉しそうにさ。2回も。」




「辞めてよ!なんなの。」



「いや、おまえこそなんなの。俺たちのバンド、さりなが歌わなきゃ、意味ないのに、

伊織が急にさりなに冷たくなって。混乱してるんだよ。」




「誘惑なんてしてないし、バンドと伊織と逢沢さんのことは関係ないと思うけど。」




「優等生ぶって、伊織に近づいてさ、さりなから強奪しようとするなんて、すげーよな。」




「話を逸らさないでよ。」




「伊織のためを想うなら、これ以上のことはやめたら?」




「あなたには関係ない!!何が言いたいの?」




「忠告してやってんだよ。これ以上伊織と恋愛ゴッコしたって、彼女にもなれないし、結婚もできないんだぜ?」



「そんなこと、あなたに言われなくてもわかってるわ。」




玲蘭が校舎に帰ろうとすると、楓は玲蘭の進行方向に立ち、進路を妨害する。



「どいてよ!」



そして楓は玲蘭を勢いよく壁に追い詰めた。

手でガッチリホールドした。




玲蘭は動揺して、慌てる。




「何よ、離してよ。」




「ねぇ、会長。伊織とも、あんなえっちなキスしたんなら、俺ともしてよ。」




「嫌よ。離して。」




「バラしてもいいの?朝比奈伊織と、雨宮玲蘭は兄と妹の関係なのに、家や学校で性的なことしてイチャイチャしてるんです、って。」




「脅迫するの?卑怯者。」





「脅される方が悪いんだよ。」





楓はそういうとニヤニヤしながら玲蘭の口に近づいてきた。




玲蘭が目を瞑ると、急に楓の気配が消えた。






目を開けると、伊織がいて、楓が頬を押さえて倒れていた。

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