第29話

帰り道、奈々と似奈と帰ろうとすると、二年生の昇降口から、智之と修也が手を振ってきていたのに気づいた。



手を振りかえしていると、奈々は、玲蘭のほっぺを指でぷにっとした。




「なんかあったの?」



「え?」



「ぼーっとしちゃって、らしくないじゃん。」



「あ、恋の悩み?」




奈々と似奈から挟まれて質問攻めで、玲蘭は、俯く。




「な、なんでもないよ。」



「なんでもなくないよ、さっきのミーティングでもぼーっとしちゃってさぁ!!」



「うん。ごめん。でも、大丈夫だから!」



「玲蘭、玲蘭は本当いつも完璧でさ、私たちも頼り切ってる。でもさ、たまには頼ってよ。私たちのこと。」



玲蘭も、奈々や似奈なら、相談できるかもと思ったが、さすがにさっきのことを考えると、言えなかった。




伊織は何を考えて、あんなことしたのか、

そればかり考えてしまう、玲蘭だった。

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