第三話 波乱のはじまり

第21話

ある日、さりなは髪を染め直して、ヘアアレンジも、工夫して学校に来た。



「あーさりな、髪染めた?」


「ヘアアレンジ良いじゃん。」


「うん、いいでしょ?めっちゃ気に入ってるんだぁ!!」



友人の有澤や入江とはしゃいでいると、伊織が登校してきた。



さりなはそれに気づいて、伊織に近づいていく。



「いおりー!!おはよ❤︎」


「おぅ。」




髪を変えたことにも、気を止めない伊織に、さりなは表情を曇らす。




「いおり、見て。髪の色、変えたんだ。」


「おぅ、そうだな。」



興味のない返事。


さりなは、いつもなら我慢できたが、その日はできずに涙が溢れた。




「なにそれ、興味なしって感じだよね。

伊織はいつもそう。」



「いちいち気づいてやらなきゃいけないわけ?めんどくせぇ。」



「酷いよ!伊織。」



さりなは涙目になって、教室を飛び出した。



「さりな!!」



教室から走り出たさりなを、洋一は追いかけた。




伊織は席に座り、外の風景を眺めた。





さりなはそのまま、廊下の隅へ。




「さりな!」



「洋ちゃん。」



「何泣いてるんだよ、伊織が他人に興味ないのなんて、いつものことだろ。」



「だって、だって、だって......。」




さりなのなかで積み重なったものが、溢れ出たのだ。



「気にするなよ。」



「伊織、私と別れたいのかな。たしかにわたしのワガママで、付き合い始めた様なもんだったけどさ。」



洋一は苦笑いしか、できなかった。




「そりゃ、たしかに。さりなと付き合ってるのはバンドのためかもしれない。


さりながgive upしたら終わりだぜ?」




「わかってるけど、なんか一方的で辛いよ...。」




洋一はさりなに何も言えなかった。

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