第12話
入籍をするのは6月にしたい、ということで、引っ越しの準備もそれに合わせて取り行った。
毎日バタバタ忙しかったが、玲蘭はなんだか、ウキウキしていた。
「なんかお父さんもお兄ちゃんもイケメンだったし、自分の部屋も手に入るし、最高なんじゃないの?」
「ゲンキンだよね。志穂は。あんなに反対してたのに。」
「お姉ちゃんこそ。なんか微妙に嬉しそうな気がするんだけど?」
「そんなことないよ。」
「ふーん?」
「でも、やっとお母さんも楽になるかな、って気持ちはあるよ。慎也さんもいい人だし。うまくいくんじゃないかな。この結婚。」
「でも、わからないじゃん。一回離婚してるでしょ、あっちも。」
「志穂。」
子供なのに、余計な一言を言ってしまう志穂に、玲蘭は少し怒りを込めて、名前を呼ぶ。
「前向きに考えようよ。」
「はいはい。」
2人は再び荷造りを始めた。
またしばらくして、志穂が話始めた。
「でもさ、あの、伊織さん、だっけ?
結構乱暴そうじゃない?大丈夫なのかな。」
「うん、学校でもね、一応、不良って言われてるの。喧嘩はしょっちゅうしちゃうみたいで、警察に厳重注意うけたりしてるみたいなんだ。」
「えー怖いじゃん?それ。」
「でもね。中学一年生の時はそんな人じゃなかった。いい子だったもん。
何か理由があるのよ、きっと。だから、志穂も怖がらなくていいと思うよ。」
「うん、根っからの悪い人でもないとは、私も思うよ!仲良くしてくれるならそれでいいんだ。」
玲蘭はふとため息をついた。
そういえば、友達にはなんて説明したらいいのだろうか、と。
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