第2話

朝比奈あさひなー!加賀美かがみー!」



怒鳴っていたのは理科教師の山飼やまかい先生。



玲蘭とさくらも思わず立ち止まる。



「なんだそのだらしない制服の着方は。

 シャツはしまえ!中に色シャツは着るなと何回言ったらわかるんだ。あと髪の色!いつになったら黒くするんだ。」



「うるせぇな!失せろ!」



「なんだと!教師に向かってその口の利き方はなんなんだ。」




「てめぇなんか教師じゃねーわ。ばーか。

いこうぜ?伊織。」




2人はそう言って歩いて行く。




「うわ、出た。朝比奈伊織あさひないおり加賀美楓かがみかえで。春央中の恥。」



「さくら。そんな言い方辞めてよ!」



「校則は守れない。授業中も不真面目。タバコ、万引き、喧嘩。警察のお世話になってばかりじゃないのよ。恥じゃなかったらなんなの?」



玲蘭は言い返せない。



「山飼先生もちょっと朝からフルボリュームで怒りすぎなような.....。」



「うちの中学の恥なんだもん。あれくらい言われて当然だと思うけど。大嫌い。今時不良なんて流行んないのよ。」


「でも、朝比奈くんって、入学したときは全然普通だったよね?」


「バスケ部の部室でタバコ吸って退部になるやつのどこが普通なのよ。本当、最悪よ。今年は高校受験なのにさ。あんな奴らがクラスにいたら、面倒でしょうがない。」



さくらはずっと2人の悪口を言っていた。



玲蘭はその悪口を聞きながらも、入学当時を思い出していた。

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