冬の王の首飾り・・冬の王の証・・

第10話

「これか?」胸元の赤い宝玉のついた首飾りを見せる冬の王


「ああ、そうだ そこの幼き少年よ

可愛いこの少女を助けたいのだろう?」邪悪な笑みを浮かべる女王が言う


男の子は 泣きそうな顔をして 冬の王に顔を向ける。


「成程、人質を取られていた訳だ」

男の子の顔に手を触れる冬の王


「ん!ん!・・この子は・・」王は安堵ようにそっと微笑む。

そして小さな声で男の子だけに聞こえるように呟いた


「思わぬ拾い物だ この子の魔力は想像以上に大きい

あの魔女めは生憎そこまでは気がついてないようだ」


「我はようやく継ぐ者を見出した」

「幼き少年よ、頼みがある

そなた 「冬の王」になってはくれまいか?」


「え!」男の子は驚き問いかける。


「さすれば この首飾りの宝玉はそなたにやろう・・。

好きするがいい 」


「この宝玉には 前世代の王達の記憶と魔力が刻み込まれたもの

代々、王に受け継がれたもの 

そなたは資格がある これからの事は宝珠が教えてくれるだろう」


「急にそんな事を言われても‥」


「いやだと言うなら、この首飾りはやれぬ

これは 冬の王のものだから‥それがこの首飾りにかけられた魔法」

微笑みながら 冬の王は優しく話しかける。


「…わかりました。冬の王になります」


「よかろう、それから‥一つこれだけは聞いてくれるかね」


「たとえ、この私の身に何が起こっても 

決して そなたのせいではない

何故なら、この地で王という者は唯一ただ一人なのだから‥」


「?」きょとんとする男の子


冬の王はしゃがみ込み 

男の子が 首飾りを取りやすいように 目線を合わせた姿勢を取る

そうして男の子は冬の王の首飾りを外した


すると…

まるで 幻のように 王の身は風の中に溶け込むように

ゆっくりと消えた


カランカランと 服や身にまとった鎧や剣が 

その場所に転がった

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