冬の魔女(女王)と冬の王の対決・・人質の少女
第9話
「おでましかえ? 王?」女王は笑う
「それにしても 大事な妾(わらわ)の僕たちを氷に閉じ込めるとはね
妾もその魔法の呪文は よく使う」
「そなたの大事な妃は 100年前に 妾の魔法で 氷の柱に捕らえられ
生き血を全て抜かれ 無数に並ぶ氷の柱の中 妾の宮殿に飾っておったが」
「もっとも 今はそなたの住む湖の底深くに置かれていたな」
「そなたが 妃の妹でなければ 100年前に打倒しておったものを」
「妃は妹のそなたを あれほど愛し大事にしておったのに
そなたが悪しき前の闇の王を愛しさえしなければ
我は前の闇の王同様に
悪行を重ねるそなたを 闇の王の氷の宮殿に閉じ込める事しか
出来なかった・・。
人を襲い その身体から血を抜き取り 吸血鬼と成り果てた
そなた
だが・・それは なんとも哀れな・・・。」
「ふ・・双子の妹の妾ゆえ・・
同じ顔の者を殺すには 忍びなかったのでは?王?」
妖艶な笑みを浮かべて笑いかける女王
「ははは!殺してみよ! 最愛の妃と同じ顔をした妾を殺してみよ!」
「今度は 氷の宮殿に閉じ込めようなどと思うな!
なぜ 妾が あの宮殿から出てこれたのだと思う?
ほんの少し結界を壊し 緩めただけで こうして出てきたのだ!
わかっているはずだ・・そなたの魔力は年々弱ってきている。」
「そう!次の世代への橋渡しの時期にきているのだ!
次世代の王がないまま そなたは魔力を引き継ぐ者などおらず
そなたの代で
この白き魔法の使い手は滅びるのだよ!」
女王は 呪文を唱え ツララで出来た槍の雨を降らせた
風を切り裂く音をたてながら ツララの槍が
王達に雲霞(うんか)のごとくに
襲いかかり降り注ぐ
王側の雪の巨人達が うめき声をあげて倒される
王は手をあげ 空中に氷の壁を一瞬にして作り上げ
壁が盾となり ツララの槍を防ぐ
「妾は 決して忘れぬ 愛する夫 前の闇の王を 銀の剣で
刺し殺したそなたへの恨みを・・」
「仕方あるまい・・女王よ・・
せめて 苦しませず その美しい身を 氷の柱に閉じ込め
宮殿に封じる」
王は長い魔法の暗唱を始めた・・呪文を織り込み
強い魔力を持つ 女王を封じるための呪文
女王は 血で出来た氷の騎士から 何かを受け取る
袋に入っていた物は 小さな人間の少女だった。
「さあ 王よ 呪文を唱えるがいい! この愛らしい少女も道づれだ!」
口に布をあてられて モゴモゴさせながらも
涙を流し 女王の腕の中で暴れている
「さあ、どうした?王?」 雪の女王は笑みを浮かべ問いかける。
「お前の望みは? 女王?」静かに問いかける 冬の王
「わかりきっているはずだが?冬の王よ」
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