第7話 ひんやりしていて気持ちいい

「初のクエストですよ!行きましょう!」

「京介くんはやけにやる気なのね……」

「現実でこんなことできるんですからね!」


 冒険者登録が済み、早速ビッグスライム討伐のクエストを受けることにした俺たちは、近くの草原までやってきた。

 周りにはピョンピョンと飛び跳ねているスライムが大量にいるが、今回の狙いではない。


「優香さん、できれば助けて欲しいです!」

「自分でなんとかして出てきなさいよ!私スキルなんて使えないもの!」


 そう、今回の狙いであるビッグスライムは俺を丸呑みしようとしているこいつだ。

すでに下半身までスライムの体に沈んでいってしまい、腰にかけた剣を抜くことすらできない俺は何も抵抗することができなかった。

 意外とひんやりしてて気持ちいいかも……。


「京介くん、ぼーっとしてないで出てきなさいよ!」


 こうして考えごとをしているうちにも俺の体はどんどんとスライムに飲み込まれていき、もう少しで首まで到達しそうなくらいだ。

 一か八か。賭けに出るしかないな……。

足元はゼリー状のスライムの体。

成功するかは分からないが、俺は足に力を入れてそれを蹴った。すると昨日スカートの中を覗くために使ったスキルが発動し、なんとかスライムに丸呑みされるのを回避できた。

 脱出した俺は振り返り、腰の剣を構えて地面を強く蹴った。自分を弾丸にしてスライムに突っ込み、体を貫いてやった!


「やった…!やりましたよ優香さん!」

「もう、心配させないでよ…」


 ビッグスライムの体は爆発するように散り、俺たちはなんとかクエストをクリアすることができたのだ。


「う〜む、こいつの破片を使って大人のおもちゃを作ることはできないだろうか」

「バカなこと言ってないで早く戻るわよ」


 呆れた、というような表情で彼女は俺の耳を引っ張った。


「いてて、そんなに引っ張ったら千切れますって!それにこれは男の夢なんです!哀しい孤独な夜を繰り返す漢たちの希望なんです!」

「あ、あなたには私がいるからいいじゃない…」

「へ?なにか言いました?」

「なにも言ってないわよ!」

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