第56話

「八雲様は、あの子からしか絶対受け取らないの!!」



「……………っっ」





ズキッ!!


息が止まる…。




「あんた…もしかして八雲様狙い??」




あたしの様子に気付いた子が、そう聞いてくるも返事も出来ない。




「辛いだろうけど諦めな。八雲様ファンが何回もチャレンジするけど、必ず八雲様はあの子の前に行くから」




諦める??



ギュッと弁当を抱きしめた。




あたしは…。




ガラガラガラーーッッ




八雲さんの特別の"あの子"も見れず俯いた、その時、視聴覚室のドアが開く。





「キャァァァァッ!!!!」




大きな歓声。



皆がすぐ側にいる。



いつもなら、何も考えず突っ込んでいくのに…。


皆の近くにいるだけで、楽しくて仕方ないのに…。





「あっっ!?ちょっと、あんたっっっ!!」




皆の方も、八雲さんの特別の"あの子"も見ることはなく、あたしはその場を














逃げ出した。

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