山暮らし聖女の異世界スローライフ〜聖女召喚された私、偽物だとして雪山に廃棄されるも、チートスキル【インターネット】と神の力で快適に暮らしてる。今更私が真の聖女だと気付いたようですがもう遅い
第101話 帝国からのお客さんを、助けてた(無自覚)
第101話 帝国からのお客さんを、助けてた(無自覚)
私の名前は長野 美香。
地球ではごくごく普通のOLだった。
あるとき、異世界から聖女として召喚され、三年間ブラック宮廷勤めを強いられた後、国外追放の憂き目に遭う。
山頂にある龍脈地にて、神の力を覚醒させた私は、その力を使い様々なトラブルを解決していった。
また、近頃は私の暮らす山の側の領地、デッドエンドの問題も解決していく。
襲い来る魔族たちを次から次へとぶっ倒したり、神を増やしたりしていく。
気づけば、私は色んなことに忙しくしてるのだった。
私のスローライフ……どこいったっ。
☆
ある日のこと。
ログハウスにて。
『ばうー! 姉ちゃんおきてー!』
『わうー! あそびましょー!』
キャンプ椅子を置いて、ひなたぼっこをしていたところ、子フェンリルたちに起こされた。
おっきなオスフェンリル……ふぇる太。
そして、おっきなメスフェンリルのふぇる子。
膝の上には、ちっこいフェンリルが乗っかってる。この子はふぇる美。
この子フェンリル三人組の末っ子だ。
『ミカを起こすんじゃあありませんっ!』
この子らの母親……フェルマァが、子ども達に注意をする。
すっかり眠気が吹っ飛んでしまった。
『……母さん。うるさい。ミカ姉さんが不愉快に思ってる』
『ももも、申し訳ありません!!!!!』
騒ぐフェルマァ。
「大丈夫。泣かないで」
よしよし、と私はフェルマァの頭を撫でる。
でれぇ……とした顔になるフェルマァ。
起きて暇だし、遊んであげるかー。
って、あれ?
私は膝の上のふぇる美に尋ねる。
「ルシエルどこいったの?」
『……今日、帝国から客が来るから、リシアと一緒に迎えに行った』
あ、思い出した。
ちょっと前に、お隣のマデューカス帝国へ行いった。
ポーションを製造するために、錬金術師を派遣して貰うことなったんだった。
「色々あって、すっかり忘れてたわー」
マデューカス帝国いってから、魔族が次から次へと襲ってきたから。
最近はちょっとその頻度が落ちてきた気がするけど。
「そっか、ルシエルいないのかー」
んじゃ、私が遊んであげますかね。
ふぇる太が私にフリスビーを渡してくる。
ていっ、と私がかるく投げる。
ふぇる太が一瞬でキャッチ。
戻ってきて、彼は言う。
『ミカ姉ちゃん! 遠くに飛ばして欲しいんだぜ!』
「遠くに?」
『そうだぜ! もっともっともぉおおおっと』
「いいの?」
『いんだぜ! 力一杯なげてほしいぜ! いっぱい走りたいんだぜー!』
ふぇる太のレベルは9999。
体力やパワーが有り余ってるのだ。敵らしい敵はいないし、いても私とかが倒しちゃうしね。
「よっしゃ。じゃあ、遠くにぶん投げちゃうよ」
『よろしくだぜ!』
とはいっても神パワーを全開にするわけにはいかない。
神は日常生活を送れるように、力を制限してる。これを神プロテクトという。
プロテクト起動状態で、私はフリスビーをぶん投げる。
「ほーら、とってこーい」
ぎゅぅううううううううううううううううううううううううううん!
野球選手のレーザービームもかくやといったほどの、遠投っぷりを見せる。
やっば……大丈夫かな。
『うぉおおおおん! おれは……! やるぜ……!』
ぼぉお! とふぇる太の体から炎が吹き出す。
彼はただのフェンリルではない。
『
全身から炎を吹き出し、それを推進力にして、ぶっ飛ぶ。ロケットみたいだ。
「元気だねー」
『……兄さん、パワーあり余ってるから』
お膝の上のふぇる美がため息をつく。
『あたしもあたしもっ! ねーねー、ミカねえ! あたしもあたしもー!』
ふぇる子もまた、ふぇる太同様にチカラありあり余ってる様子。
「はいはい」
KAmizonで買った新しいフリスビー。
「そーれい」
ギュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!
投げフリスビーを、ふぇる子が追いかけていく。
ふぇる太のように、炎を使ってロケットスタートはできない。
どうするんだろう。
『
ふぇる子の体から凄まじい勢いで、冷気が吹き出す。
その上をスケート選手のように、しゃーっと華麗に滑っていく。
前方に冷気を噴射、氷の橋を作り、その上を駆けていった。
やんちゃ組が見えなくなる。
「ふぇる美もやる?」
『……やらない。姉さんの、ここがいい』
膝の上に乗っかってるのがいいそうだ。可愛いやっちゃ。
私はふぇる美の頭を撫でてあげる。
冬毛でモコモコしてる。
「くぉん……」
「お、りん太郎」
うちにいる神獣の一匹、
「なーに?」
「くぉん」
りん太郎はまだ幼いし、レベルも低いので、ふぇる美たちみたいにしゃべれないのだ。
「ふぇる美、なんて言ってるの?」
『……血のにおいするって』
「血のにおい?」
こくん、とりん太郎がうなずく。
別にそんな匂いはしないけど。獣は人間よりも嗅覚が鋭いからな。
なにかを察知したのかもしれない。
『……姉さん。私も、感じる。たくさんの魔物と、人の気配』
「ほーん。ちょっと調べてみるか」
気になったので、調べる。この山、およびその周辺は、私の庭だからね。
そこで起きるトラブルはほっとけないのだ。
「
私はスマホを取り出す。
スキル……インターネット。それが神の力が加わることで、
その効果は、あらゆる事象を検索できる全知。
そして、私にとって都合の良い力を他者に与える、全能。
今回は……というか、ほぼメインで使うのは、
気になることをスマホで検索すると、答えが表示されるのだ。
~~~~~~
近くで発生してる魔物関連のトラブル
→帝国からデッドエンドに来る途中の人が、高ランク魔物の大軍に襲われていた
~~~~~~
「こりゃ大変だ。人が襲われてる、助けないと
『……姉さん、待って。襲われてい【た】って書いてる。過去形』
……おや、確かに。
襲われてる、じゃあない。
どういうことだろう。
「いや、それより人名優先。【
私の体がふわりと浮き上がる。
私の魔法適性は最高位。どんな魔法も努力無しで使うことができる。
空を飛ぶ魔法で、事件現場へと急行する。
ふぇる美が私のダウンジャケットから顔を覗かせていた。いつの間に潜り込んだんだろう。
あったかい。モコモコしてるし、最高のカイロだ。
『あそこ。人と魔物の気配する』
ふぇる美は優れた探知能力を持つ。
魔物と人が襲われてるらしい現場へと向かう……んだけど。
「なんだぁこれ……?」
なんかクレーターが二つほどできあがっていた。
そして……。
『うぉおおおおおおおおん! おれはやったぜ!』
『あおおおおおおおおおおおん! あたしもやったー!』
ふぇる太&ふぇる子が吠えている。
~~~~~~
何があったか?
→上級オークの群れを、ミカの放ったフリスビーが直撃×2した。その大半が死亡、撃ち漏らしたオークはふぇる太&ふぇる子が片を付けた
~~~~~~
「私の投げたフリスビーが、運良く敵の魔物に激突したってこと?」
どんなラッキーだよ。
『ミカ姉さん神だから……』
「神だからで済まして良いのこれ……?」
と、そこへ……。
「み、み、ミカ神どの……」
ちょうど、デッドエンド領民にして、契約神のルシエル、および娘のリシアちゃんがやってきた……。
あ、や、やっば……!
これ……私が帝国の人たちを、殺したみたいに見えない!?
倒れ伏す血まみれの帝国人たち。
そこにいる無傷の私。あわわわ。
「さすがです……お母様っ!」
リシアちゃんは笑顔で私に近づいてきて、がしっ、と手を掴んでくる。
「帝国の皆さんを、助けたんですねっ!」
「え? あ、う、うん……」
「やっぱり! さすがです!」
助けって言うか、偶然フリスビーが当たっただけっていうか……。
「え、私がこの人達殺したとか思わないの?」
「はいっ。お母様は、優しい女神さまなのでっ!」
うーん、良い子……!
お母さんとしては、ちょっと素直すぎて、心配だよ。
怪しいやからに連れ去られないかってね。
「おっと。死んじゃってる帝国の人たちなおさないとね。かもーん、四神の皆」
空中に黒い箱が出現する。
これは……
所有物なら何でも、どこからでも取り出すことができ、さらに眷属たちを召喚も可能。
四神の青龍、
「んじゃ、【
神の力を使って、死者を蘇生させるスキルを発動。
倒れ伏し、ぐちゃぐちゃになっていた帝国の人たちが、あっさり元に戻る。
「よし」
「よしじゃなぁあああああああああい!」
ツッコミを入れるルシエル。
「何今の!?」
「
「死者を蘇生できるのか!?」
「うん」
「うん!?」
「何驚いてるのさ? 私神だよ……?」
ルシエルは頭を抱える。
「あの……ミカ神どの。昔人間だったとうかがったののだが……」
「そうだね」
ちょっと前までね。
「もう完全に感覚が神になってる……ミカ神どの精神は神の領域に達してるということか……!」
精神まで?
どうだろう。昔の私と変わらないような。
「死んだら普通は生き返らないのに……」
「え、普通生き返るでしょ?」
「普通じゃあないから! 生き返らないから!」
「でも生き返ってるし」
「あ゛ぁ゛あ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~! もぉ゛お゛~~~~~~~~~~!」
ま、そんな感じで、サクッと人助けをした私なのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます