第99話 新たなる神を生み出す



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神獣が集結する理由

→森の神モリガンが、神獣のトラブルをミカに解決させ、ミカの神格を上げようとしてるから

また、モリガンが『神獣をなおす女神』という噂を流してるから

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 はい、モリガンさんのせいでしたね……。

 あのセカンド駄目神め。


 駄女神はトゥアハーデ一人で十分なのに……。

 まあ、駄女神と駄女神は引かれ会うのかもしれない……。

 スタ●ド使いがス●ンド使いと引き合うように。


 ルシエルが「ミカ神ども、大変なんだな……」と同情してくれた。


「ありがと。まあ、あれだ。お疲れでしょ? なら……温泉でも入っていきなよ」

「温泉……?」


「君、けっこー泥だらけよ?」


 さっきふぇる太&ふぇる子の、やんちゃ組の相手をしたからか、ルシエルの衣服と体が汚れていた。


「入ってきな、温泉」

「では……お言葉に甘えて」


 ということで、皆で温泉です。

 龍脈地の近くには温泉が湧いてるのだ。


 中で着替えて、皆で露天風呂へ。


「こ、こんな立派な露天風呂があるなんてっ」


「シャワーとか、ジャグジーも着いてる。檜風呂やサウナまである、優れものお風呂なんですぜ」


「ほぼ何言ってるのかさっぱりわからないがとりあえず、凄いお風呂ということはわかった」


「? ルシエル、なんかツッコみ弱くない?」

「もうミカ神どのにたいしては、ツッコみきれない」


 ぐったりした状態でルシエルが言う。


「わかるのじゃ、ルシエル。スルー。それが正解じゃ」

「だよね、ふぶきどの」


 意気投合するツッコみがかりたち。


『うぉおおおん! ふろだー!』

『おっふろだわぁあああああ!』


 びょんっ! とやんちゃフェンリル×二匹が、湯船にドボンしようとする。


「待てこらおまえたちっ!」


 ルシエルが二匹の尻尾を掴んで引っ張ろうとする。


「あばばばばばばばば!」


 ルシエル、パワー負けして引きずられていた……。


「ふぇる太、ふぇる子。かえってきなー」

『うぉおおお!』


 どどどど! とふぇる太たちが帰ってくる。


『呼んだぜ? 呼んだぜ?』

『なにかよー? 何か用?』


 ぶんぶん! とふぇる太たちが尻尾を振る。


「湯船に入る前に体洗いなさい」

『『えー!』』


 嫌そうな顔をする二匹。


「なんでおまえらシャワー嫌いなんだ?」


 とルシエル。


『じっとしてんの、嫌いだぜ!』

『湯船は泳げるから好きだわ!』

「いや湯船も泳いじゃだめだからな!?」


 思わずツッコむ代弁つっこみの神ルシエル。

 ……私はツッコんでくれない。ちょっと寂しい。


「なんでその物欲しそうな顔するんだっ? そして、なんでニヤニヤしてるんだっ」


 いやぁ、やっぱりツッコみがあると新鮮だわー。


「私も手伝うよ、二人を洗うの」

「いや、わしがやろう。ルシエル、押さえてておくれ」


「わ、わかった……頑張る」


 ということで、ルシエルとふぶきが、やんちゃ子フェンリルを洗うことになったんだけど……。


『うぉおおお! ひまだぜ!』

『早く湯船に入りたいわー!』


 暴れ回るフェルフェルたち。

 ルシエルが頑張って押さえているけど、それでもジタバタ動いてしまう。


「どうにかならんもんじゃろうか……」


 困ったときは全知全能インターネット


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解決法

→新・新アプリ《神契約ゴッドサイン》を使用する


神契約ゴッドサイン

→寵愛を受けし信徒と契約し、力を与えることができるアプリ

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「ミカ神どの? お風呂場にまで、その板っきれを持って行くのか?」


 ルシエルがスマホを見て指摘してくる。


「え、普通もってこない? 風呂にスマホ」

「よくわからないが……。そんな精巧な作りの魔道具、湯船に落としたら壊れてしまうのではないか?」


 凄くまともなこといわれた……。


「大丈夫。ジップロックに入ってるから」

「何が大丈夫なのかさっぱりわからんっ……! って、ああ! ツッコんでしまった……!」


 さすが、代弁の神。抑えきれないんだね、内なる……ツッコみ欲を。


「で、新アプリ、神契約ゴッドサインってのを使えば、神から寵愛を受けてる信徒に、神の力を与えるんだってさ」


 ようするに、眷属神化や、下級神化がアプリで、自発的にできるようになったらしい。


「また私パワーアップしてる……」

「ミカ神どのって、最強最高の存在なのに、パワーアップするのって変じゃあないか?」


「え、そう?」

「はい。普通、強敵や困難が立ち塞がったときに、修業して強くなるものだと思うのだが……」


 と、ルシエル。

 たしかにぃ。


「いわれるまで気づかなかった」

「誰か言ってやれよっ……! なんで誰も言ってくれないの!?」


「周りがイエスマンばかりじゃからのぅ……」


 しみじみ、とふぶきが言う。彼女、しっかりふぇる太のシャンプーもしてくれてる。


「さて、で、この神契約ゴッドサインを使えば、下級神が作れるわけで……ふぶき。あんたを下級神にします」

「わしを?」


「うん。今までいっぱい頑張ってくれてるから」


 このアプリ、対象となるものをレンズに映すと、【貢献度】が表示される。

 貢献度とは、わたしに対してどれくらい貢献したか、によって与えられるポイントらしい。


「ナチュラルに神と書いて私と呼んでいるなミカ神どの……元は人間なのに……」

「なんかもう最近、自分でも人間じゃあないって思ってきてるんだ……やることなすこと神の奇跡だから……」


「そ、そっか……強く生きてくれ……」


 ありがとう、ルシエル。


「で、眷属になろうのときと同じで、神に対して、任意の力を与えられるらしい」


 これは、私の持つスキル、全知全能インターネットの【全能】スキルの効果だ。


「ふぶき……あんたを、【剪裁トリミングの神ふぶき】に任命する」

「と、剪裁トリミングの神ふぶき!?」


 ぱぁああ……! とふぶきが光り輝く。


「なんじゃ……チカラが溢れてくる……! これが……神の力……!」


 ふぶきに、神の力が宿る。

 そして、彼女の目の前に、1本の美しい黄金のはさみが出現した。


「それ……アタシのときの、全知全能の剣ホテイソンと同じ……眷属器ってやつ?」


 と、ルシエル。


「そうそう。眷属器。ふぶきのは鋏だね。全知全能の鋏ヘラクレス


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全知全能の鋏ヘラクレス

→視界に入ってる、任意のモノを、一瞬で全て切り刻むことができる

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「だいぶヤバい代物じゃん……! これ、殺人とかに使えちゃうでしょ!?」


 確かに離れたところから、この鋏つかって、首を切るとかできるだろう。


「わしはそんな危険なことはせぬのじゃ」

「魔物は虐殺する蒼銀竜ブリザード・ドラゴンなのに??」


「あ、あれは神の土地に入ってくる不届きものを屠っていただけじゃ! 無差別に殺してないのじゃ! ちゃんと警告はしたのじゃっ」


 どうどう、と私はふぶきをなだめる。


「何はともあれ、その鋏つかえば、汚れだけ、そんで、伸びきった毛も一瞬でカットできるってことだよ。ふぶき、よろしく」

「うむ……」


 ちょきっ、とふぶきが鋏を動かす。


 ふぇる太のシャンプーでもふもふになった毛皮が、一瞬でカットされる。


『お! なんか……さっぱりしたぜっ!』


 汚れていた毛(冬毛でちょっとモコモコしすぎてた)が、切れていた。


 ちょきっ、とふぶきが再度鋏を動かす。

 ふぇる子の毛皮も同じ風に、ぴっかぴかになった。


「よし、湯船へGO」

『『うぉおおおおおん! 湯船ぇ~~~~~~~~~~~!』』


 綺麗さっぱりになったフェルフェルたちが、お風呂の中にツッコんでいった。


 バシャバシャと元気よく犬かきしてる。


「便利な道具を与えてくれて、ありがとうなのじゃ、我が主よ」

「どーいたしまして。ごめんね、もっと早くチカラ与えられてたらよかったんだけど。どうやら、私が神としての格があがったことで、使えるようになったみたい、あのアプリ」


 現在の神格は、3.5になっていた。


「元は3じゃあなかったのかの?」

「そう。でもなんかあがってたの」


 ルシエルを神にしたことで、さらに神格があがり、神アプリが使えるようになったのかな?


「ミカ神どの……やっぱりアタシ、最強の存在がパワーアップすることにたいして、疑問なんだけど……」

「そう? ま、いいじゃん。便利になるんだからさ」


「ミカ神どの……。察するに、今までその、『ま、いいじゃん』で色々すませすぎてないな……?」


 ……。

 …………。

 ………………うん。


 思い起こされる、やらかしの数々が脳裏をよぎったけど。


「ま、いいじゃん」

「ほら! それ! そのうち……大変なことになるんじゃあないか?」


「ははは、まさか。大丈夫だよ。神の力があればなんとかなるし……」


 と、そのときだった。


「みーーかーーーーーーーーーー!」


 ……空から、翼を生やした眼鏡の女が、やってくる。

 モリガン……。


 そういや、あいつに帰って良いよって言ってなかった……。


 あの笑顔……あの、褒めて欲しそうな……顔。

 すっごく……嫌な予感する。



「ミカ! 聞いてくださいっ!」


 やだ、聞きたくない……。


「信者……増やしておきましたよー! ゲータ・ニィガから、たっくさん!」


 ……信者、増やしておいた……?

 え?


「なんで?」

「信者の数が神としての格につながりますからねっ」


 ……あれぇ?

 もしかして神格が上がったのって、ルシエルを神にしただけじゃあなくて、信者が増えたからってのもあるの?


「え、なんで?」

「なんでというのは……?」


「なんで格をあげようとするの、私の?」

「? 神ちしての格があがったほうがいいでしょう?」


 ああ……。

 私は手で顔を覆う……。


「モリガン!」


 ルシエルが声を張り上げる。


「あんた! なに勝手をしてるの!? ミカを困らせて!」

「なっ! ぶ、無礼者っ! 神であるわたくしになんて口をっ!」


「アタシだって神だし! そこのものぐさ最高神が何も言わないから、アタシが代弁つっこむんだし!」

「ふん! ちょっとミカにチカラ貰ったくらいで、調子乗らないことですねー!」


 ぎゃあぎゃあと喧しく騒ぐ神々を見て……私はにっこりと微笑む。


「ルシエル、これからもその暴走神の制御を、これからよろしくねっ」

「おもりが増えるのは、いやだぁああああああああああああああああああ!」

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