第74話 プールで子フェンリル達を超進化させる




 お野菜ちゃんに作ってもらったプールについて説明しよう。


 規模は、ちょっと大きめな市民プールくらい。

 中には、50メートルプール、流れるプール、ウォータースライダー、そしてジャグジーを完備。


 屋内型なので、天候関係なく、楽しめる施設となっている。


 ……さて。

 私たちは水着に着替えて、プールサイドへとやってきていた。


 私は白いビキニにパレオを巻いている。

 ……いつも食っちゃねしてるわりに、お腹には肉が付いていない。


「ミカお母様っ!」


 水着に着替えたリシアちゃんがやってくる。

 ワンピースタイプのめっちゃ可愛い水着だ。


「お母様……とてもおきれいですっ!」

「ありがとう。リシアちゃんは可愛いね」

「ありがとうございますっ!」


 どら子はというと……。


「ミカママぁ~」


 ……白いスクール水着を着ていた。

 ピッチピチなんですが……。


 KAmizonで買った水着をいくつか、更衣室に置いておいたのだが。


「他にも水着なかった……?」

「うん。でも、リシアねーねと同じようなのがよかったから……」


 姉妹でおそろいがよかったわけか。


「どら子ちゃん、可愛いよっ!」

「ねーねもかわいいよっ!」


 可愛い達が可愛いって言い合ってる可愛い。


 続いて、大人組がやってくる。

 フェルマァ(人間バージョン)、ふぶき、そしてマーリン(人間バージョン)だ。


「ミカ様ー! なんと美しい~! 美の化身とはまさにあなた様のことです!」


 ……皮肉かな?

 いや、どうやらこの子は自分の容姿(人間的な意味で)優れてることに、気づいていないのだろう。


 どら子よりも大きな胸。

 くびれた腰。

 そして……長い手足。太ももには良い感じにお肉がのってる。


 男ならここで大歓喜だろうが、残念ながら私は女。


「フェルマァも綺麗だよ」


 ぶんぶんぶん! とフェルマァが尻尾を振り回す。

 しかしうちの子たち……皆美人だな。


 ふぶきも背が高いし、胸も、まあどら子やフェルマァほどじゃあないけど、結構ある。


 そしてマーリン(母麒麟人間体)もけっこーやばい。


 キラキラ輝く髪の毛と瞳。そして抜群のプロポーション。


 プールサイドにはもふもふ達がいた。


「ばうばうっ!」「わぉおおおおん!」


 ふぇる太&ふぇる子の元気組が、水を前にハイテンションに吠えている。

 毛深い子らには、水着を着させてる。


 あの水着には《眷属になろう》の魔化機能を使って、怪我抜け落ちないような処理がされてる。


「さ、プールへレッツゴーだよ」

「「「「おー!」」」」 


 子ども達より先に、ふぇる太&ふぇる子が50メートルプールへと近づく。

 ききー! とプールの前で立ち止まる。


「どうしたの?」

「ばう……」「わう……」


 神妙な顔つきの二匹。


「風呂には飛び込むなと、わしが教えたからのぅ」


 さすがペットシッター・ふぶき。

 私が居ないところで、きちんとシッターとして仕事してるなんて。


「いいんだよ、二匹とも。ここは、お風呂じゃあないんだから」


 ぴんっ、と二人の耳と尻尾が立つ。


「周りに人がいないのを確認してから、飛び込むと……」

「ばうーん!」「わうーん!」


 びょんっ! と二人がプールに向かって飛び込む。

 ザバアァアアアアアアアアアアアン!


 二匹は元気よく犬かきしてる。


「…………」

「くぉん」


 ふぇる美とりん太郎はプールサイドで丸くなっている。


「泳がないの?」

「…………」

「くぉん」


 屋外プールの壁は曇りガラスとなってる。

 外から入る日の光の近くで座って、うたた寝してる。


 ひなたぼっこのほうが好きみたいだ、この子たち。


 四神たちもプールに入ってぱちゃぱちゃしてる。

 青嵐せいらん黒姫くろひめは水に浸かって浮いてる。


 一方朱羽あかはね白猫はくびょうは元気にはしゃぎまくってる。


 もふもふたちは各々、プールを楽しんでるようだ。


「あう……ミカお母様」

「ん? どうしたの、リシアちゃん」


 プールサイドでぷるぷるしてるリシアちゃん。


「わたし……泳げないのです……!」


 まあ、そっか。

 デッドエンドって周りに海ないし、森の中の湖には魔物がいて近づけないから、泳げなくて当然か。


「大丈夫だよ。KAmizonで買った、この大きな浮き輪に乗っかればいいさ」

「浮き輪……浮き袋ですかこれは?」


 この中世ヨーロッパ風世界にも浮き輪的なものがある。

 だがそれは浮き袋といって、獣の皮で作った袋だ。


 人が海に落ちたときに使うんだってさ。


「そんな感じ。これに乗っかれば浮くから。ほら、おいで」


 私が先にプールに入って、巨大浮き輪をプールサイドに近づける。

 リシアちゃんが恐る恐る、座る。


「わっ! わー! ぷかぷか浮いてますっ!」


 そしてそのまま、すいー……と移動し出す。


「う、動きました!? どうなってるんです!?」

「流れるプールなんだ、ここ」


 楕円形のコース内を、水が流れる仕様となっている。

 コース外側は穴があって、そこから水が吐き出されている。


「すごいすごーい!」


 きゃっきゃ、とリシアちゃんがうれしそうにはしゃいでる。

 その隣にどら子がすいーっ、と近づく。


「ねーね、えーいっ」


 ぱしゃっ、とどら子がリシアちゃんに水をかける。


「きゃ~♡ やったな! えーい!」


 水を掛け合う幼女達。

 はしゃぐもふもふ達。


 大人組はプールサイドに寝そべって休息を取ってる……。

 ああ、スローライフ……。


 って、おっといけない。本来の目的忘れるとこだった。


「おいでー、子フェンリルたち」


 私は流れるプールから出て、50メートルプールへと向かう。


 まずはフェンリルたちから、洗礼を浴びせることにした。

 ふぇる太&ふぇる子は水面から顔を出す。

 ふぇる美はプールサイドをじっと見つめてる。


「怖いの?」

「…………」


 ちゃぽ……とふぇる美が水の中に入る。

 そして、仰向けになって……浮かんでいた。泳げはしないようだ。


「それじゃ……君たちに洗礼を」


 私も水の中に入る。

 全知全能インターネットで、やり方はしっかり調べている。


 まず神、そして神の子となりたい人が水の中に浸かる。

 そして、頭から水をかけて上げる。


「わう~!」「ばう~!」


 きゃっきゃ、とフェルフェルがはしゃいでいた。遊びじゃないんだけどね。


「で、最後に……」


 私はふぇる太の頬を手で掴み、ちゅっ……と額にキスをする。

 そう……洗礼にはキスも必要なんだとか。


 ふぇる子、ふぇる美もしていく。そして……。

 かっ……! と三匹の体が光り出した。


 ふぇる太ふぇる子は、体がまた一回りくらい大きくなる。

 今まで大型犬サイズだったんだけど、クマくらいの大きさになった。


 一方、ふぇる美はサイズ少し大きくなって、小型犬くらいになる。

 薄紫色の光が常に出てる状態だ。


「三匹ともおっきくなったね」


~~~~~~

ふぇる太

【種族】炎神フレイムハートフェンリル

【レベル】9999


ふぇる子

【種族】氷神アイシーバーストフェンリル

【レベル】9999


ふぇる美

【種族】雷狼神ヘル・ガルム

【レベル】100000

~~~~~~


 パワーアップしすぎてた。

 特にふぇる美。10万て。


『うぉおおお! なんだか、からだに、ちからがわいてくるぜ!』


 ……あれ?

 ふぇる太がバウバウ言う一方で、頭の中に声が響いてくる。


「もしかして……ふぇる太。念話覚えたの?」

『ねんわってなんだぜ!』


「テレパシー的な」

『わからないんだぜ!』


 うーんフェルマァの子……。


『あたしも力がわいてくるぜ!』


 と、ふぇる子からも念話が聞こえてきた。 おお、二人とも進化して、念話スキルを覚えたようだ。


『うぉおおお! おれは、元気いっぱいだぜー!』

『あたしだって! 元気もりもりだぜー!』


 二人が頭上を見て、あおおぉおん! と吠える。

 すると彼らの体から、炎、そして、冷気が発せられた。


 天井を着くほどの勢いの、炎と氷だ。


「吠えるだけで炎と冷気を出せるようじゃな。特別なスキルを使わずとも」

「危ないから。しまってしまって」


『おれは、やるぜー!』

『あたしも、やるわー!』


 うぉおおん! と吠えまくる二人。

 炎の柱と氷の柱が突如として出現する。ああ、火事になるからやめてって……。


 と、思っていたそのとき、頭上に雨雲が出現する。

 室内なんだけど……?


 ざああああああああああああ!

 と突如として雨が降った。

 炎はもちろんのこと、冷気も、雨によって洗い流されていた。


『…………落ち着いて』


 おお、ふぇる美も念話使ってる。

 子フェンリルちゃんたち、全員が進化して、しゃべれるようになったようだ。


 しかも雨を降らせた……あれは、天候操作コントロール・ウェザー

 確かすごいいにしえの魔法だったような……?


 それを使えるようになるなんて、すごいな、ふぇる美。


『姉ちゃーん!』

『ねえさーん!』


 どしっ、とデカ犬二匹にのしかかられる。


『おれはやるぜ!』

『あたしもやるわ!』


 何をよ、何を……。


「うーむ、洗礼しただけで、ここまで強くしてしまうとは……」

「さすがミカ様ですねっ!」

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