第28話 神の武器を量産する
女神たちが帰っていった、その日。
庭先にて。
私はフェルマァ、ふぶきとともに、神から貰ったもの確認していた。
〜〜〜〜〜〜
・神鎚ミョルニル(extra)
→八宝斎が作りし神器。
【万物破壊】、【超錬成】、【全修復】、【
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・万物破壊(SSS)
→触れた万物を破壊する。
・超錬成(SSS)
→触媒を用いて万物を錬成する。
・全修復(SSS)
→触れたもののを完全な状態に修復する。
・複製(SSS)
→対象の完全な複製品を作る。
「SSSランクが4つも付与されてるんだけど……」
「神器じゃからな」
困った時の
神器とは、奇跡の力を発揮する、神アイテム、だそうだ。
なるほど、奇跡の力ね。確かに付与されてる四つのスキルは、どれも規格外のスキルだから。
改めて、神鎚を手に取る。
純金の、手のひらサイズのハンマーだ。
過剰な装飾は施されていない、シンプルなハンマーである。
「女神様が、この素晴らしいアイテムを与えられるにふさわしい人物ということですねっ!」
いつの間にか人間姿になっていたフェルマァが、尻尾をぶんぶんさせながら言う。
「ふさわしい人物ねえ。どうかなぁ」
「まあ、そもそもその神器、主にしか使えぬがの」
「? どういうこと」
「神器を使えるのは神だけじゃからな」
なるほど、神である私にしか使えないのね。
「んで、こっちは神獣の卵だっていうけど」
同じく
〜〜〜〜〜〜
■■■■の卵(extra)
→■■■■の卵。
生まれるまであと1000年
〜〜〜〜〜〜
なんの卵なのか、伏字になってる。
そういえば、全知全能は、隠蔽されていない全ての情報を閲覧できる、というものだった。
この卵の情報は隠蔽されてる、ということだろう。
「なんで隠蔽されてるんだろう?」
「悪用されないようにじゃろうな」
「悪用?」
ふぶきがうなずいて答える。
「神獣はとんでもない力を持っておる。手懐ければ、世界を手に入れたも同然となる。それゆえ、情報をスキルか魔法かで隠蔽したのじゃろうな」
なるほどねえ。
確かモリガンは四神の卵といっていた。
四神といえば、青龍、玄武、朱雀、白虎。
つまりこれから生まれるのは、その四匹のどれかってことになる。
「どの子が生まれるのかなぁ。楽しみだなぁ」
って、検索情報をよく見ると、孵化するまで1000年って書いてあるんですが。
「なんでこんな長いの……?」
「普通の生物と違って、生まれるのに途方もない力が必要となる」
孵化のためにかなりのエネルギーが必要らしい。
1000年……長いなぁ。
ま、私不老不死の存在になったし、気長に待つとしよう。
KAmizonでサコッシュを購入する。
サコッシュの中に卵を入れて、肩からかける。
「アイテムボックスにしまわぬのかの?」
「うん。ほら、卵って温めないと孵化しないでしょう?」
だから、持ち歩いてあげることにした。
さて。
卵はどうにもできないので、新しく手に入れた力である、神鎚を使ってみよう。
ハンマーを手に、私は龍脈地の外にある、木のもとへ向かう。
「【万物破壊】。てい」
パァン!
ハンマーで軽く叩いただけなのに、大樹は跡形もなく消し飛んだ。
え、こわ……。
万物破壊って、こんなふうに跡形もなく消しとばしてしまうんだ……
だってこれ謝って人に使ったら、人間であろうと一瞬で消えちゃうってことでしょ?
なんて危ない力なんだ。あんま使わないでおこう……
「とんでもない火力を手に入れたの……」
「神である女神様に、ふさわしい力です!」
ううん……
「あのさ、フェルマァ。その、女神ってやめない? 私には美香って名前があるんだからさ」
なんか神って呼ばれるの、気恥ずかしいのだ。
「美香って呼んで」
「そ、そんな恐れ多い!」
「友達に神って呼ばれるのやだなぁ」
「友、達! で、ではその……み、ミカ様で……どうでしょう?」
「うん、それでいいや」
フェルマァちょー嬉しそう。
そんな嬉しいことかねこれ。
まあ、話は戻って。
「次に全修復。壊れたものを完全な状態に戻すって言うけど……」
まさか木っ端微塵になった木は戻らないよねえ。
と思いながら、地面をこつんと叩いてみる。
ずぉおお!
木っ端微塵になった木が、まさかの、元通りになっていた。
まさか跡形もなく消し飛んだものまで修復できるとは。
「対象を、とうことは、生物、非生物に限らず直せるやもしれぬの」
神器半端ないって……
「で、残りは超錬成と複製か」
「超錬成は元となる素材があればなんでも作れるみたいじゃの」
ふぶきが枝を一本折って、私に放り投げてくる。
こつん、と枝をハンマーで叩く。
ぎゅるん! と一瞬で木製の椅子へと変化した。
「想像通りのものが一瞬でできたわ」
「同じ素材であれば、このように想像した通りのものが作れるようじゃね」
つまり木の枝で鉄の剣は作れない、ということ。
これも家とか作るときに便利そう。
そして複製。
元となるものがあれば、複製品を作れるかぁ。
「クローン人間とか勘弁だし……試すなら食料とか? それと……」
ちら、と私は神鎚ミョルニルを見やる。
「もしかして……」
私はアイテムボックスに入ってる、聖剣エクスカリバーを取り出す。
私は神鎚ミョルニルで、こつん、とエクスカリバーをたたく。
エクスカリバーが輝くと……。
空中に、2本目のエクスカリバーが出現した。
からん、と地面に落ちる。
「すごいですっ、ミカさま! 伝説の聖剣を複製してしまいました!」
これ使えば、無限にエクスカリバーを装備できるよね。
「エクスカリバーを複製しまくって、たとえば眷属ちゃんたちに装備させれば……」
「無敵の軍隊の完成じゃな」
眷属たちは、私が野菜をもぐだけで簡単に作れるし。
伝説の武器屋防具は、元となるアイテムがあるので、簡単に複製できる。
……うん。できちゃうね、最強軍団。
「作っちゃお。魔物を倒して貰うんだ」
するとフェルマァが青い顔をして、私の脚にしがみついてきた。
「ミカさま! 魔物狩りは、わたくしの役目でございます!」
うるうる、と涙目でフェルマァが私を見てくる。
「もしかしてぇ……わたくしはお役目ごめんなのですかぁ~……」
「違う違うって。魔物退治なんて面倒なこと、眷属に任せたほうが、君も楽でしょって思って」
眷属のほうが数多いし。
伝説の武器装備させれば、この山に住んでる高レベルモンスターも倒せるだろうし。
わざわざフェルマァが出張らなくてもよくなる。
「しかし……! それではミカさまから任せれた命より大事なお役目を! 失うことなります!」
友達の仕事が楽になったほうがいいかな、って思っての発言だったんだけど。
フェルマァ的には、仕事を取り上げられるように思えて嫌なようだ。
魔物狩り以上の役割を与えたら満足するかな。
「近衛……?」
ぴくっ、とフェルマァが泣くのを辞める。
ぶんぶんぶん! とフェルマァが尻尾を振る。
「近衛……ミカさまの護衛、ということですね!」
「そういうこと」
「わかりました! わたくし、ミカさまの近衛となります!」
どうやら納得してくれたようだ。
「じゃあ、さっそく眷属達に装備させる、伝説級アイテムを複製しないと……」
あーでも、眷属達数多いからなぁ。
いちいち複製するのはめんどくさいな。
そのときだった。
ちょんちょん。
「ん? どうしたの、サツマくん?」
建築リーダーのサツマくん(いも眷属)が、自分をぐっ、と指さす。
「え、もしかして代わりに装備品の複製やってくれるの?」
「…………」こくこく。
おお、なんと。助かる。
「しかし主よ、眷属では神器は使えぬぞ?」
神鎚ミョルニルは神器、神にしか装備できないアイテムだ。
どうにかできないか、
私は神アプリ《眷属になろう》を立ち上げる。
そして……神鎚ミョルニルに、名前を付ける。
【サツマくんの 神鎚ミョルニル】
アイテムを眷属化することで、
サツマくんの、と所有者を記入する。
「ふぶき、手だして」
「手?」
神鎚ミョルニルをふぶきの手に載せる。
ズドンッ……!
「おっっも!!!!!!!!!!!」
神器が地面に突き刺さっていた。
神以外が持てないことがこれで証明された。
「サツマ君、持ってみて」
サツマ君はてこてこ、と神鎚ミョルニルの元へ向かう。
ひょいっ。
「軽々持ち上げた!? 眷属が……!? 神器を!?」
所有者の名前を記入することで、 神でなくとも神器が使える。
「うーん……相変わらず天才魔道具師も裸足で逃げ出すほどの発想力じゃ」
「さすがです、ミカさま!」
よーし、この調子で眷属たちをガンガン強化してくぞ。
今日は他にやることもないし、いい暇つぶしになりそうだしね。
ピキッ。
ん? ……サコッシュの中から、なにかヒビが入る音がしたような……。
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