第22話 これ何の絵?

4月がもうすぐ終わりそうなある日こと。僕はお遊戯の時間のため子供用のLUGOブロックで遊んでいる。正直子供用は一つ一つが大きすぎて細かい造形ができないからあまり好きでない。物と大きさのものでやりたいが園児なので諦めるしかない。そんな風に少し残念に思っていると。


「みーくんみーくんみてこれ〜」


両手で紙を持った杏奈ちゃんがやってきた。いつも以上に饒舌に話すことから杏奈ちゃんのテンションが高い状態ということがわかる。


「どうしたのー?そのてにもってるのはなーにー?」

「なんだとおもう〜?」


そう言い絵が描かれている紙を見せられる。つまりこれが何かを当てればいいのかうんうん簡単だよ…まずい本気でわからない。これが何か聞こうと杏奈ちゃんを見る、杏奈ちゃんはニコニコ目を輝かせてどうみても僕が当てるのを楽しみに待っているようにしか見えない。

本気でなんの絵だ?多分だがキャラクターだろう…主に使われている色は灰色と白色、少しの緑…耳はウサギのような形…全体的に丸みを帯びている…耳の間には葉っぱ?らしきものが乗っている…3本の髭が生えている…お腹の部分は白く、上の方だけ模様が入っている…本気で何だ?

杏奈ちゃんが描きそうなものかー…最近見たものか?…いや幼稚園にある絵本のキャラクターを描いただけかもしれない…あんまり嫌だがヒントを貰うか。


「杏奈ちゃんわかったんだけど自信無いからヒントもらって良いかな?」

「じしんあるならいえばいいのに…ろからはじまるジヌリの」


ロから始まって世界中で人気なアニメーションスタジオのジヌリのと言ったらこれしかない。


「やっぱり隣のロロトのロロトだね」

「せいかい」


そう言って杏奈ちゃんは僕に抱きつく。あっぶねー…ヒントなかったら普通にわからなかったは、せっかくいつもよりテンション高いのに下げるところだった。杏奈ちゃんテンションが高いときに落ち込むとその分だけ落ち込むからな〜。


「ねえねえ、みーくんみーくん」


耳元で囁かれる、少しゾクゾクする。


「なーに杏奈ちゃん」

「みーくん何かかいて」

「いいよ」


そう言われて絵を描き始める…やっぱ難しいのじゃなくてみんな知っている物の方がいいよね。


数分後…


「これ何の絵だと思う?」


時間をかけて絵を頑張って描いた、流石にこの建物は幼稚園児でも知っているだろう。じっくりと杏奈ちゃんが見ている。じーくりじーくりじーくりじーくりじーくりじーくり…………

それから数分まだじーくりと絵を見ている。そんなにわからないものなのか?


「青い貝殻?」

「違うよ」

「うーん?」


また考え込んんでしまった。時間がかかりそうだと思っていると先生が通りかかる。先生にも聞いてみる。


「先生これって何かわかります?」


流石に大人だし先生はわかるだろう…これでわからないと言われたら泣いちゃいそうだ。


「えーと…青い東京タワーかしら?」

「違いますよ」


泣いてしまいそうだ…先生も本気で分からないのか?東京スカイトゥリーは知らない人がいないと思うんだが……もしかしてまだできてないのか?そうすればわからない理由がつく。


「先生って東京スカイトゥリーって知ってます?」

「知らないわよ、それって何か教えてくれる未来くん?」

「僕の夢に出てきた建物です」

「素敵な建物ね」


まだ出来てない確定だ…これで僕の絵が下手等いうことは無くなるのか。よかったよかった。


「あと未来くん、この絵は誰にも渡しちゃダメよ」

「どうして?」

「これは男の子が描いた、しかも幼稚園児が描いたものだから世界中の人が欲しがるの。それは多分だけど何億円もの価値になるの」


何億ってマジか、どうしたらそんな金額になるんだよ。


「幼稚園児が描いたものはみんな家族が保管するの、だから帰ったらお家の人に渡そっか」

「わかった」


みんな家族が保管するから市場に出回る枚数が少ないのか。せっかくだし、お母さんにも絵をかくか。

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