第56話

充《……………》




充は何も言えず、黙ってしまった


その沈黙が肯定を示していた




奏《…ねぇ、君に会いたいよ


今日、どうしてもダメ?》


充《……っ!!!》




奏くんは、“千亜”にじゃなくて、“充”に会いたいと言っているのだと理解した瞬間、とても泣きたくなった


ずっと

気付いて欲しかった


オレは千亜ちゃんじゃなくて、充なんだと


でも

気付いて欲しくもなかった


奏くんが、オレが千亜ちゃんじゃないと気付いてしまえば、もう会えなくなってしまうだろうから…

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