第55話

充《……悩み、なんて無いよ…》




声が震えない様に一息吐いてから答えた


が、直ぐに否定の言葉が電話口から返ってきた




奏《嘘


君は、いつも何かあると時間差は多少あるけど、間が空く》




奏くんのその言葉に、充の全てが凍りついた


奏くんが、そんな細かい所まで見ていてくれた事が嬉しかったが、きっと

いや、ほぼ間違いなく奏くんにはオレが千亜ちゃんじゃないとバレている




だから、さっきからずっと

充の事を“千亜”ではなく“君”と呼んでいる

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