第49話
カーゴトラックの左右脇に、綾波二式が並ぶ。
背中にはSRМを四問搭載したバックパックシステムAだ。基本がそのタイプでシールドとサブマシンガンを持ったタイプBが援護に着く、まだ狙撃用にタイプCや索敵用のレーダードームをつけたタイプDがあるが今回は出番は無いらしい
「壮観ですね」
僕が隣の六花理司令官に話しかけると、フッと笑って腕を組んで言った。
「みんなお前の兄のお陰だよ」
「でも、兄貴から今回の件、後ろから働きかけてくれたのは理さんだって聞きましたよ」
「まぁ……、それだけフレイが重要なのだと分かるだろ?」フレイ……あれから、あまり顔を合わせていないな……。
「フレイは元気ですか?」
「元気だよ。会おうと思えば何時でも会えるさ」
「監視付きで、ですか?」
理さんが、バツの悪そうな顔をして、
「それを、言うな」と言った。
「どうやら僕まで、保護観察になったみたいですね?」
「分かるか?」理さんがため息をつく。
「まぁ、今まで付いてなかった僕に監視がついているのが分かる位は」僕や彼女の隣に屈強そうな男女が一人づつ付き人と言う名の監視人が付いていて、道力が威嚇するのを押さえるのが大変だった。
「ここまで、行動を見張られているのに、僕には何も教えて貰えないのですか?」理さんに当たっても、しょうが無いのは分かっている。
それでも聞きたくなる時だって……。会いたい気持ちを隠しながら、言ってもしょうが……。
「勝利、戦争体制の今だからこそ、言える事がある。勝時ここは、私が何とかする。勝利を彼女の元に……」
「理さん!!」戦況を見つめ、僕の方を振り向かずに彼女は言った。
手招きされて、兄貴が来た。
何時もと違う真剣な顔。
「来い勝利」兄貴が僕を手招きする。
「本当に見張りの人とか大丈夫なの?」最近いるはずの二人の姿を確認出来ず不安でいると、
「戦時中のマニュアルとかあってだな。戦いに巻き込まれ無い様に別の車で待機して貰っている」
「ドローンカメラにより、同じ映像を写してあるんだよ。彼らは数時間、同じ映像を見る事になる」ニヤリと笑う兄貴に、「まぁお前は観察対象からは、まだ大した事が無いから出来る事なんだ」
「フレイの方は?」兄貴はニヤリと笑い一言。
「完全買収」
苦笑いしつつ、とにかく僕らはフレイの元へ急ぐ、
「億が飛んだからな……ココだ最後尾から三列目の」最後尾から三列目のカーゴトラックの中に生活スペースを作って彼女は住んでいる。
「フレイ、僕だ」中に入って来た僕を彼女はチョコンとパイプイスに座って待っていた。
「会いたかった……」「はい、私も……」近かったのに、会えないもどかしさが、やっと……。
彼女は、その場にすくっと立ち上がる。
「ショーリー、私は過去から来た人間です」
強く握りしめた両手が、それが冗談では無いと強く認識される……。
「フレイ……君は一体……」
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