第61話

ゴロツキ達を捕らえ終わると、氷帝はまた指ぱっちん1つでそれ全員を 龍の顎 の地下牢へと、強制転移させた


氷帝は何ともアッサリやって退けているが、これは氷帝にしか出来ない事だ


転移とは、Aランクの者でも使えない者が多い


その理由としては、自分を転移させるだけでもかなりの細密さと集中力と、結構な魔力が必要となるからだ


そして、強制転移となると、更なる技量が必要とされる


それも人数が増えれば増えるだけその細密さや集中力もだが、魔力も乗算的に相当量必要となる


それをたったの指ぱっちん1つでこなす氷帝はやはり、規格外と言えるだろう


風帝は荒くなった呼吸を整えながら氷帝を見る




「………風帝、大丈夫か……?」




氷帝は、魔法は使わず体術だけであの人数を無効化し、

終いには全員を強制転移させたというのに疲れを見せず、ケロリとしていて、

剰え(アマツサエ)風帝の心配までしている


その事に実力差がまざまざと見せ付けられた気がして、風帝は悔しかった


だから、無理して応える




「………大丈夫、だし…っ


…くっ、……は…ぁ、」


「……いや、無理に痩せ我慢するな


まぁ、依頼はまだあるが、これが風帝にとって1番過酷だった様だし、今帰っても取り引きを無効にしない


だから、無理はするな、風帝」




氷帝は風帝を思い、言った事だったが、余計な言葉を付け過ぎた様だ


氷帝の思いとは裏腹に、風帝は更にやる気を出した


普段、教師をしている時とは大違いだ




「いいや、付いて行くさ、無理にでも


足手纏いだなんて言わせねぇよ」


「いや、言ってねぇから」




ちょっとカッコつけた風帝


だが、直ぐに氷帝に突っ込まれてしまった


何とも締まらない男である


風帝は小さく舌打ちし、無理矢理話題転換した




「………チッ


それより、次は何処だ?」


「今舌打ちしたよな?」


「してねーし」


「…まぁ、どうでも良いが素に戻ってるぞ、風帝」




いじけてる風帝、ルーカスに一応忠告したが、本人は気にしていない様




「だってどーせ誰も聞いてねーし、氷帝ってブリクストじゃん


もう今更だろ、ダリぃ」




意外とルーカスの言葉にも一理あった

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