第53話

「なぁ、ブリクスト


機嫌直してくれよ


お前が活躍してくれたら優勝出来るだろうし、そしたら食堂が1ヶ月タダだぞ!」


「……………」


「センセー、ティオナットは食堂行かねーからそれ効果ないよー?


ティオナット、自炊してるし、ご飯めっちゃ美味しそうだし…」




ルーカスの言葉をずっと無視していたらそれを可哀想と思ったのか、

フレッドがルーカスにとっては助け船、ティオナットにとっては要らない事を言う


そんなフレッドに対して、ティオナットは盛大に舌打ちをして、睨み付ける




「よし、ブリクスト、これならどうだ?


体育祭頑張ってくれたらお前の評価、最高にしてやる」




ルーカスの口から教師とは思えない言葉が出てくる


ティオナットはそれに冷たい瞳と言葉で一蹴する




「そんな事してもらわなくても実力でどうにでも出来るし


ていうか、教師がそんな事言って良いわけ?」


「使えるもんを使わんでどうする


それに俺は教師になりたくてなったわけじゃねーし…


……んじゃぁ、わかった


体育祭までお前の身の回りの世話をしよう、それでどうだ?」




その言葉にティオナットは少し考える




「………家事、炊事、掃除に洗濯、全て完璧に出来るのか?」


「任せろ


それら全般は出来る


なんなら裁縫までちゃんとやってやんぞ」




間髪入れず応えたルーカスにティオナットは少し考えて、応えを出す




「ふむ………


分かった


仕事終わったら俺の部屋来いよ


教師の権限ってやつで俺の部屋くらい分かんだろ?」




ルーカスはティオナットの応えにニヤリと笑い、念を押す




「あぁ


ぜってぇ、優勝しろよ」


「クラス全員が俺の “忠告” を素直に聞くなら、約束しよう


これは団体戦だからな、俺1人が頑張ろうとも意味がねぇ」




ずっとティオナット達の会話を聞いていたクラスメート


ティオナットの言葉に頷く者や、顔を嫌そうに歪める者、

言葉に出して批判する者は居なかったが、皆思う処がある様だ

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