第24話

「ドーモ、この度このクラスに編入されたティオナット・ブリクストです


見掛けでしか人を判断しきれない奴は話しかけんなよ


俺そんなに暇じゃないから


ルーカス先生、俺の席どこ?」




初っ端からティオナットはクラスのほぼ全ての生徒を敵に回した


そしてそれを素知らぬフリでルーカスに自分の席を聞く


ルーカスはティオナットのその態度に頬が引き攣った


が、その事については特に何も言わず、席がどこなのかを告げる




「……お前の席は廊下側の1番後ろ


他の教師共の授業はどうでも良いけど俺の授業では寝るなよー」


「…ん、善処する」




ルーカスの教師らしからぬ発言にはもう慣れてしまった様子のティオナット


とは言っても、ティオナットは

ルーカスには何を言っても意味を為さない、とただ諦めただけなのでもあるのだが


それだけを言うとティオナットはルーカスに指定された席へと着く


因みに、それまでに投げ付けられる嫌味、罵詈雑言などは全てシカトである


その後、ルーカスは 「じゃぁ、これでHR終わりなー」 と呟く様に言って、教室を出て行った


普通ならそれを期に転入生へと群がって喋りかけ始めるのだが、ティオナットに限ってはそんな事はなかった


まぁ、あんな自己紹介とも言えない事を言えば全員の反感を買う事は火を見るより明らかなのだが…


と、思ったが何処にでもその例外とはある様だ


1人の赤髪の男子生徒がわざわざ席の前にまで来て、ティオナットに話しかけてきた




「なぁなぁ!


ティオナットって言ったよな?


俺はフレッド!


フレッド・バレル!


よろしくな!!」




にっこにっこと楽しそうな笑顔で喋りかけてきたフレッドという少年


体つきは平均より少し大きいくらいだが、表情というか雰囲気というか、

とりあえずフレッドは全体的に、年齢の割に幼く見えた


ティオナットは一瞬目を見張ると、小さく笑った




「……フレッドね…


よろしく」

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