第57話

ご飯を食べ終わり、使った食器やフライパン等を全部洗って貰い、その後に風呂掃除もルーカスにさせたティオナット


風呂掃除も終わった今、ティオナットとルーカスはテーブルを挟んで、向かい合って座っていた


何故そうなったのかと言うと…




「………で?


話したい事って、何だ?」




ティオナットがルーカスに話しがあるからと、座らせたからだ


ルーカスとしては早く帰って寝たいのが本音だったが、ティオナットには体育祭に向けて頑張ってもらわねばならないため、これも仕事だと割り切って尋ねた




「ん?


あぁ、ルーカスが知りたがっていた事を教えてやろうかとな


………な?


ストーカーさん?」


「な……


おいコラ、誰がストーカーだと?」




数瞬言葉を失った後、瞳に怒りを滲ませながら怒るルーカス


ティオナットは1つため息を吐くと、その理由を述べる




「だって、会った初日から俺の事見て、こっそり追いかけてきてたじゃん


見えない様にわざわざ光属性のミラージュ全身に纏って、風魔法で臭い消しつつ俺の事追って来てたし…


それのどこがストーカーじゃないの?」


「………っ!!


……お前、やっぱり気付いてたんだな?」




後をつけていたことがティオナットにバレていると知った瞬間、ガラリとルーカスの纏う雰囲気が変わり、チリチリと殺気が肌を刺す


想像の範囲内ではあったけれども、そんな反応がうっとうしかったティオナットは手をひらひらと振る




「あーも、そんなに殺気立たないでよ、たったこんくらいの事で


ていうか、普通の一生徒なら失神くらいしててもおかしくないくらいの殺気とか、馬鹿なの?


もし俺の心臓とかが弱かったりした場合死んでてもおかしくないんですけど


死にたいの?」




最後の1言と共にルーカスのそれ以上の殺気を籠めて睨む


たったそれだけで、体が竦んで動けなくなったルーカス


その額には、徐々に脂汗が滲み始め、次第に玉のような汗を作る


そこで殺気を抑えたティオナット


そして、それが治まった事に安堵し緊張の糸が切れたルーカスは体が弛緩してテーブルに額を押し付け、無意識に荒い呼吸を繰り返す


それを見下ろしながら、ティオナットは1つため息を溢す




「どっちが強いかは分かってんでしょ?


今のルーカスなんて、俺が本気出したら直ぐに赤子の手を捻る様に息の根を止められるんだから、無駄な事しないでよね」


「………っ…」




プライドをへし折るだけでは飽き足らず踏み潰すように、なかなかに酷い言われ様だが、ルーカスには反論できなかった


現に、ティオナットとはそれが出来るくらいに実力差がある


悔しさに唇を噛むルーカス


それを見て、ティオナットはまたため息を吐く

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