第54話
ルーカスはそんなクラスの雰囲気を見て、全体に声をかける
「お前ら!
優勝したいならブリクストの言う事ちゃんと聞いとけよ
こいつの協力もなかったら優勝出来ねぇだろ
何もする前にこいつの事を気にくわねぇって排除する前に少しは喋ってみろ
言葉は悪りぃし、ドSだが根は腐ってねぇ良いやつだ
忌み子って事を除けばそこらへんに居るお前らガキと何ら変わりはねぇんだから、オツムの悪りぃ餓鬼っぽい事すんじゃねぇよ?」
その言葉にクラスメート達は、お互いがお互いを見やる
そして、一部は渋々ながらも、1人が頷くとポツリポツリと皆が頷き始め、最後には全員が頷いた
因みに、最後まで頷くのを渋っていたのは、ジェラルドだった
全員が頷いたのをルーカスが確認したところで6限目終了のチャイムが鳴った
「おーし、これで6限目終わったな
連絡事項は特になし
以上、解散」
ルーカスの簡潔な言葉に皆、荷物を片付けて各々帰り支度をしたり、友人同士喋ったり、部活へと行ったりと、それぞれ自由に動き出す
ティオナットも机の上に出していた荷物を鞄の中に仕舞い、寮へと向かう
その後ろを、フレッドが追いかけてきた
「ちょっと!
待って!
待って、ティオナット!」
まだ人通りの多い時間に大声で名前を呼ばれたティオナット
ただでさえ黒髪黒目の忌み子である事から目立っているのに、フレッドのせいで更に注目を浴びるハメとなった
そのことにティオナットの機嫌が悪くなる
「………チッ
何?」
だから、舌打ちするのはしょうがない
ついでに声がいつも以上に冷たいのもしょうがない
「今、舌打ちした!?
今、舌打ちしましたよね?
ティオナットさん!!」
「うざい」
ティオナットからの言葉の暴力に、その場でくずおれるフレッド
だが、ティオナットはフレッドの事など気に留めず寮への道を歩き始める
それに気付いたフレッドは、直ぐにティオナットを追う
「あっ、待って、待って、ティオナット
一緒に帰ろ」
「……なら、静かに且つ速やかに来い」
そうそっけなく吐き捨てる様に言ったティオナット
そのティオナットの頬が少し赤みを帯びていた事は誰も知らない
それに対しフレッドは、ティオナットのその冷たいながらも許可が出ている言葉に、嬉しそうに見えない尻尾をブンブン振り回して横に並んだ
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