第44話

「え……!?


ど、どういう事ですか!?」




ザンが慌て気味に尋ねると、メイドは目に涙を浮かべながらジェラルドの今の状況を教えてくれた




「坊っちゃんが、1週間程前からずっとお部屋にこもりっきりでございまして、いくら呼び掛けても一切応じて下さらないのです!


…それだけならまだ宜しかったのですが、ご飯をお部屋の前に置いておいてもお召し上がりになられていらっしゃらないですし…!


坊ちゃんの部屋には一応冷蔵庫も水もございますので、そこから最低限のものは食されていらっしゃるのかもしれませんが………っ」




マシンガンの様に喋り出したかと思うと、途中からは急に声が萎み、最後には言葉に詰まり、さめざめと泣き出してしまったメイド


それを見てオロオロするザンと、何かを決意した様な表情(カオ)となったハーパル




「……オレ達がジェラルドを部屋から引き摺り出してくるよ!!」




むふーっ と鼻息荒く、そう声高らかに宣言したハーパル


そんなハーパルの宣言に驚くザンとメイド


そして、逸早く我に返りそれに食い付いたメイド




「………っ、本当ですね!!?


ハーパル様!」


「うん!


オレ達に任せて!!」




そう言って拳で己れの胸をドンと叩くハーパル


ハーパルの自信満々な態度を見て、ザンは青くなり、メイドは瞳を輝かせた




「ちょっ、ハーパル…」


「では、ハーパル様、ザン様、坊っちゃんをよろしくお願い致します!!」


「はい!!」




暴走するハーパルを止める様にストップをかけようとした時に、メイドに言葉を被せられそのままジェラルドの事を任されてしまったザン


ザンはそれにより、更に顔を青くした


(もしも無理だった時はどうするの!!?


とても心配なのは分かるけど、安請け合いしないで…!!)


ザンの思いは言葉として外に出て伝わる事はなく、意気揚々としたハーパルの後に続き、恐々としたままラングフォード家へと足を踏み入れたザン


もう言ってしまった後なのだから後戻りなどできないのだと、ザンは腹を括ったのだ


長く、広い廊下を歩いていくと、とある扉の前で足を止めたメイド


それに合わせてザン達の足も止まる




「…こちらが坊っちゃんのお部屋でございます


どうかよろしくお願い致します」




言葉とともに深々と頭を下げて、メイドは去って行った

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