第40話

そう、何時間もどこを探しても見付けきれなかったのだ


最初はただ、その忌み子が隠れるのが上手すぎて見付けきれないと思っていたハーパル達


だが、10分以上ハーパル1人で探し回って見付けきれなかったから

先に見付けられたジェラルドとザンにも手伝って貰い、3人で一緒に探したのだが


それでも見付からず、3人は漸く焦りだす


必死に忌み子の名前を呼んで叫んで探すが、見付からない


そして更に30分程して、ザン達は1つの結論に辿り着いた




「た、多分先に帰っただけだよ!


だって、こんなに探しても居ないんだもん」


「だ、だよな…


じゃぁ、僕達も帰るか…」




どれだけ探しても見つからないことに不安になりながらそう勝手に結論付けて、3人はそれぞれの家へと帰る


そして翌日


いつもの場所に、いつもの時間に、いつも通り集まったジェラルド達


だが、そこには例の忌み子だけが居なかった


不安になるが、少し遅刻をしているだけだ


そう思って少しの間忌み子を待っていたが、やはり現れる気配はない


それが更に不安を煽り、ジェラルド達3人は忌み子が住んでいる、教会へと向かった


そしてジェラルド達は、その教会で衝撃を受ける事となった


ジェラルド達は教会へ着くと、神父のところへ向かい、忌み子の事を尋ねる


すると、神父は顔を苦痛に歪ませながら、3人に教えてくれた




「ジェラルド、ハーパル、ザン


もうここへは来ない方が良いよ…


あの子は………


………あの子は死んでしまったからね…


もう、無駄な犠牲なんて出したくはないんだ…っ」




最後は目に涙を浮かべ、辛そうに絞り出した神父の声は、震えていた


神父の言葉が信じられなかった


ザンとハーパルは神父の言葉を受け止めきれず、涙ながらに神父にすがる




「うそでしょ…?


いじわる言わないでよ、神父さん…」


「ううう、ウソついたらダメなんだぞ!


あ、あいつが死ぬわけないもん!!」


「……………っ」




涙ながらに必死に神父の言葉を否定する2人を見て、更に辛そうに神父の表情が歪む


その神父の態度が、忌み子の死が本当であると如実に物語っていた


そのことを理解して更に泣き出すザンとハーパル


そんな彼らとは対照的に、ジェラルドは茫然としていたかと思うと、踵を返してふらふらと覚束ない足取りで元来た道を戻り出す


それに神父とザン、ハーパルは気付かなかった

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