授業

第25話

そんなティオナットを見てフレッドは失礼な事を言う




「…なんだ、ティオナットも笑えんじゃん


さっきも笑顔だったら良かったのにー、ティオナット可愛いんだから」




さらっと地雷を踏んだフレッド


ティオナットは以前から背が小さい事と、顔が年齢に比べて童顔であり

更に中性的な顔付きのせいで小さい頃は女の子と間違えられたりした事が多々あった


ティオナットとしては不名誉極まりない事なので、とてもではないがそれが許せないのだ


なので、今でも可愛いなどはティオナットにとっては禁句なのだ


でも、まだ初対面のフレッドはそんな事露も知らない


ティオナットはにっこりと笑顔を作り、フレッドを笑っていない瞳で見上げる




「………なんか、言った?」


「ヒィッ!!


な、何も言ってない!


可愛いとか言ってない!!」


「……そう?


俺の聞き間違いかぁー


そっかそっか、次はねぇからな?」




最後にギロリと睨みつけ、威圧すると竦み上がったフレッドは面白い程に頭をコクコクと上下に振る


ティオナットはそれに1つため息を吐き、こいつはただの馬鹿なのかと理解する




「…次の授業そろそろ始まるから席に座った方が良いんじゃないの?」




時計をちらりと見遣り、そう言うとフレッドも時計を見て慌て始めた




「やっべ、ホントだ


またな、ティオナット」




笑顔で手を振ると自分の席へと戻って行ったフレッド


それを見ながらティオナットはボックスの中から次の授業の教科書を取り出す


今日の1限目は魔法生物学の授業だった


魔法生物学とは、魔物の生態や分布地区やランクなどを知り、もし出会したり討伐する時にどう対処するのか論理的に学ぶ授業だ


ティオナットにとってはもう今更な授業だが、一生徒なのだから授業をボイコットするわけにはいかない


ぼんやり教科書を眺めていると、教師が入ってきた


委員長らしき人物の号令に合わせて礼をして授業が始まる


やはりと言っていいのか、ティオナットにとってそれは退屈な授業だった


もう既に知っている事を他人に聞かされる事は想像以上に苦痛だった


ティオナットがコクリコクリと船を漕ぐのは些かしょうがないと言えるかもしれない

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