第17話
「………はい、鍵
ブリクストくん、だったっけ?
きみ、この寮の最上階なんだねー
そこの魔法陣にのったら鍵に書いてある部屋番号の場所まで自動的に送ってくれるから多分迷わないと思うよー
じゃーねー、………僕のパフェ溶けてないよねー?」
ミシェルは寮長の仕事をした後、自分のパフェの心配をしながら寮長室に戻っていった
それにちょっと呆れつつも、自分には関係ないし彼は忌み子だと差別しなかったので、
良い先輩だなぁー と思うだけで特に何も言わず、閉じた扉にぺコリと頭を下げた後、魔法陣の方へ歩き出す
ミシェルの指差した方に確かに魔法陣はあって、それに乗ると魔力を込めずとも転移した
転移するときのいつものグニャリと歪む視界と一瞬の浮遊感を感じた後、目の前には扉があった
その扉のプレートには0001と書いて合った
ミシェルにもらった鍵にも0001との番号があることから、ここが己れの部屋だと知る
鍵はカードで、扉の横の魔機に翳すとピピっと機械的な音がして解錠される
それを確認してからティオナットはその部屋の中へと入る
因みに魔機とは現代の地球にある機械と良く似ている
が、全くの別物である
内部構造も違えばそれを動かすエネルギーも違う
この世界ではエネルギーは電気や石油などではなく、全てを魔力で動かしている
インターホンや冷蔵庫、エアコンなども地球と同じ名前、同じ貌と働きをするが、上記の様に似て非なるものである
ティオナットは玄関に靴を脱ぎ、いつもの癖で後ろ手で鍵をかける
そして部屋の中を見る
部屋はとても広く、2LDKだった
学生用に何故このように広い部屋を用意したのか分からなかったが、ティオナットは深くは考えず荷物を出していく
そして定位置に持ってきたものを置いていく
約1時間後にはもうそこはティオナットの部屋となっていた
ティオナットは自分の部屋へと様変わりした自室をクルリと見渡し、ため息を1つ溢すと備え付けのベッドに倒れ込む
これからここに住むのかとぼんやり思い、ティオナットは小さく呟いていた
「……よろしく…」
ほぼ無意識下の呟きに、小さく笑いが漏れた
そして、思っていたより疲れたも溜まっていたのだろう
ティオナットはそのまま寝てしまった
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