拾い物
第6話
ここはこの世界で最も強い魔力に満ちている 魔の森
その一角で突然淡い光と共に産まれたばかりの赤子が現れた
暖かそうなモコモコした布に包まれた、産毛が黒で今は閉じられている目も黒の忌み子の赤子だ
大きな木の根元でその忌み子は何も知らずに安らかな顔をして寝ていた
そこへ近寄ってくる影が2つ
内1つは大柄な男性のもの
内1つは人ではなく獣のもの
そして、先にその忌み子の下へ辿り着いたのは獣の方だった
獣、銀色の綺麗な毛並みの狼、シルバーウルフだ
シルバーウルフは忌み子にのそりのそりと近づいていく
そして匂いを嗅いでいた処にもう1つの影、大柄な男性が来た
その男性は、その光景を見て焦った
シルバーウルフが、産まれたばかりの赤子を食べようとしている 様に見えたのだ
まぁ、それは違うのだが
男性は、今のこの体勢と距離などを考えて、
ギルドのトップ集団の帝の中で、1番スピードがある雷帝と言われている自分でも助けられないと悟る
そのまま雷帝の男性はその魔物と忌み子を見ていた
もし魔物のシルバーウルフが忌み子を食べようなどとしていたら魔物に攻撃をする為に魔力をシルバーウルフに気付かれない程度に練り始める
が、雷帝はまたもや驚かされた
シルバーウルフは、忌み子の頬を優しく舐め、寄り添って添い寝をしたのだ
「……警戒心が他の魔物より高いシルバーウルフが人に添い寝をするだなんて……」
雷帝から驚嘆の声が漏れる
それもそうだろう
雷帝が呟いているようにシルバーウルフは人一倍警戒心の強い魔物で、攻撃性が高い魔物として知られているのだから
そのシルバーウルフが自分からまだ赤子とはいっても人間に近付き、攻撃ではなく添い寝を始めたのだから
雷帝は十二分に驚いた後、忌み子とシルバーウルフの方へとゆっくり、シルバーウルフに警戒心をあまり抱かれない様に静かに近付いた
雷帝が目の前まで来たら、シルバーウルフが雷帝を睨みつけて低く唸る
鋭い牙を剥き出しにして忌み子を護る様に前に出てきた
それに更に驚かされながらも、雷帝はなるべく優しげな声音でシルバーウルフに話しかける
「…俺はその子を保護したいだけだ
お前やその子に危害を加える気は毛頭ない
だから、その子を俺に渡してくれないか…?」
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