第31話

ワタシは皆と違うみたい………


ワタシには、皆に見えないらしい、俗にいう“化け物”が見える


何でワタシだけなんだろう…?


皆、ワタシを避ける


ワタシが皆と違うから……


ワタシが気味悪いから………


何故という疑問と、現実はつながらない


金髪に金色の眼


生まれ持った物は、黒目に黒髪の皆とは違う見た目


だから、ワタシはこの眼と髪が大っ嫌い


……………だった…


アイツに………


紅に


褒められてから………


ワタシはやっと、この眼と髪を好きになった…


この水底のような息苦しい世界でも


紅が居るから、ワタシは息を吸うことが出来た


ワタシと紅、紅龍はいつも一緒にいた


紅は大概ワタシのナカにいる


紅がワタシのナカにいる時、紅の声が頭の中にだけ響く


でも、ワタシが一人の時や、寂しい時には出て来てくれた


それはヒトガタの時や、猫の体躯の時や、龍の時があった


ヒトガタの時は皆にも見えていた様だが、猫の体躯や、龍等の人外の身体を持つ時は誰にも見えていなかった様だった


ワタシは………


紅が…


紅龍が好きだった……………




だって………


いつもワタシの傍に居てくれて、励ましてくれて、Sっぽい所もあるけど、優しくて……


ワタシは紅龍が大好きだった…


……………ホントに、好きだったんだよ…?


ワタシはその日、いつもに増して、ボーっとしてた


帰り道の角を曲がったら、ふっと意識が途切れた




その瞬間紅龍の手が、ワタシの手を掴み損なった


気がした




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




?「――…


…き……、……づき…


みづき…



美月っ!!」


美月「ん、ぅ…?


………紅…?」




目を開けると、紅龍の心配そうな顔でワタシを覗き込んでいた


身体を起こすと、何故か全身に微妙な痛みを感じた




美月「………いっ…」


紅龍「美月っ!!


大丈夫かっ!?」


美月「ぅ、うん…


………此処は、何処…?」


紅龍「………、分からない…」


美月「そっか…


紅…?


どうかした…?」


紅龍「いや………」




紅はどこか気まずそうにワタシから、視線をずらした


………紅…


いつもと“何か”違う…?




美月「紅…?


どうか、した…?」


紅「いや………


美月が無事なら、それで良いんだ…」




同じ質問を繰り返すと、そう応えた


紅にはかなり心配をかけてしまった様だ




美月「紅…


心配かけて、ゴメンね…?


ありがとう…」


紅「ぁ、あぁ…」




やはり、今日の紅は歯切れが悪い


この場所と、何か関係があるのかな…?


普段の紅との違いに戸惑う


でも、ワタシは疑問に思ったそれを、紅に訊けずにいた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る