第23話

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目を開けたら、ギンゼスの城の元の場所に戻って来ていた


…いや、戻ってきたという言葉は正しくない


信哉は、気を失っていただけだったのだから、

気が付いた後、ギンゼスの城に居ることを思い出したのだ


そんなことはどうでも良くて、信哉はさっき見たものを思い出す


あれは………


“何”だった…?




紅「思い出して………」


信哉「……………」


紅「信哉…?」




紅の言葉が脳に入らず耳を右から左へと流れ出ていく


思い出している


信哉は“思い出している”のだ


彼女らのことを


そして、それには大切な鍵がある


それを、信哉は知っている


そう、“知っている”のだ


思い出せ


“何”だったっけ…?


“あのコトバ”…


言わなきゃ………




――言っちゃダメっ!!――




思い出さなきゃ………




――思い出したら、ダメっ!!――




………そうだ


“アレ”だ…


信哉は思い出す


“あのコトバ”を


己の意味を




信哉「――――我は神を保ち、信ずる者也――――」




自然と、その口から漏れ出たコトバ


“あのコトバ”を言った瞬間、あの光が信哉を包んだ






~ライドside~




シンヤに紅龍様がイロイロ尋ねる


紅龍様が、シンヤの名前がどーのこーの、シンヤと名前は聞き取れなかった誰かに謝りたいだの言っていたら、

シンヤがふらついたがそれも一瞬で、何事もなかったかのように、光の宿らぬ瞳のままシンヤが言った




信哉「――――ワレハカミヲタモチ、シンズルモノナリ――――」




その後、シンヤの中から光が溢れだした


コトバの意味は良く分からなかったが、その光からは思うものがあった


その光はとても綺麗で、儚くて、寂しそうで、哀しそうで


そして、辛そう………


この光のナカにあるのは………孤独?






~ライドside end~






“あのコトバ”を言って、信哉は光に包まれた


そしたら、いきなり色々な記憶……


と言うより情報が入って来た


銀髪、銀目の髪が長くてストレートの綺麗な女性と


金髪、金目の髪が長くてユルフワの綺麗な女性


例の2人だ


信哉は何故か確信する


この人達の事、知らないけど


知ってる………――


そのことに安堵を覚えたのか、体から力が抜け、彼女らの“それ”に任せる


信哉は確かに知っている


だが、もう1度知らねばならぬ


始まりのことを


遠い昔のことを


彼女らのことを


そして、紅のことを…


幸せだったあの頃を


楽しかったあの頃を


辛かったあの頃を


苦しかったあの頃を


悲しかったあの頃を


彼は思い出す

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