タイムライン・ファンタジア

小林素顔

プロローグ

 その日、僕のXアカウントは凍結された。身に覚えはなかった。センシティブな画像も、差別的な投稿もしていないのに、理由さえ判然としないまま、僕はXから追放されたのだった。


 どうやらIPアドレスで弾かれたのか、サブアカウントも全滅だった。僕はXから完全に切り離され、推しのVライバーのポストも、贔屓球団のアカウントのポストも見られなくなってしまった。


 原因を推理するのであれば、もしかしたらあいつと、あいつと――目ぼしのつくアカウントはあった。あらゆる意見が食い違ってレスバを繰り返していたアカウントに八つ当たりの通報をされたとか、そういうことは考えられる。


 それにしても、喉が渇くみたいだった。スマホのXのアイコンはそのままで、タップしても画面には凍結の文字、Instagramにはアカウントはあるけどほとんどログインしていないし、TikTokやBeRealは性に合わなかった。でも、これを機会にSNSを辞めればいい、と思えるほど、僕は現実生活が充実していなかった。


 こうなったら新しいSNSに飛び込んでみるか、でもBlueskyはたぶんもうあいつらいるだろうな……そういえばなんだっけ、MisskeyっていうSNSはオタクに優しいんだっけ? 検索してみるか――そう思って部屋のPCの前に座ったその瞬間だった。


 僕は強烈なめまいに襲われて、目の前が真っ暗になり、そのまま気を失ってしまったのだった――。

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