第13話 BAD ENDは突然に?

 事前に聞いた話ではたったの三階層構造で第一階層はスライムとゴブリンのみが闊歩する高原地帯。

 どちらも低級モンスターとはいえ、数が多く倒せば倒すほどお宝やレベルが獲り放題の上がり放題まさにダンジョンとのこと。

 裏を返せば数が多くて気が抜けないってことなのだが。


 ――さりげなくあったんだ、レベル……。



「で? 普通の高原地帯にしか見えないけど、シンディさんはどう思う?」

「ふむ……やはりおかしい……」

「どこか違和感が?」


 彼女が眉を顰めている理由を訊いてみると、


「いや、先に言った通りスライムもゴブリンも数多くいる階層なのだが、それこそ入ってすぐにでも遭遇するはずの奴らがんだ……」


 言われて気付いたけど、ダンジョンに潜って既に五分経過しているが、モンスターどころか虫の気配すら感じられない。

 むしろ、これでS級のダンジョンだと言われたら詐欺もいいところだ。


「わ、わたしとしてはそのまま何事もなく終わってくれればと思います」

「同感だな。このままダンジョンコアさえ失敬できればあたしとしても楽なのだが」


 二人ともちょっと待って欲しい。それは俗にいうフラグでは……?



 ピコリ~ン♪


 あぁ…………。



      ~  注 意  ~


 フラグです♪


 フラグです♪ じゃねぇええええええええええええぇっ!!


「今のうちに駆け抜けた方がいいんじゃないか?」

「そうだな」

「はい」


 僕の提案に二人が同意したところで――



「「「グギャギャギャッ!」」」


 耳をつんざくような不快な奇声が響き渡り、地面の至る所から突き破った何者かの腕に包囲された。


「な、なんなのですかこれは!?」

「この、緑の肌はゴブリンのものだが、しかし……」


 逃がさないと言わんばかりにズボズボッと、どんどん突き破ってきて包囲網を狭めつつ増えるゴブリンの腕。

 リアルホラー? なんてバカな事を考えてる場合じゃないな。


 不意をつかれたといえど、こっちから先制攻撃を仕掛ければいい。


 火の魔法でもいいけれど、これだけ広範囲だと雷の魔法が有効だろう。単純にカッコいいし。


 これが現実いまで、危機的状況に変わりはないし、当然ゲームではないなんて事も判っているけれど、こういう選択肢があるとわくわくする。この世界こっちに来てから――いや、来る直前からのはだったからなぁ……。


 ヤツらの手が近づく前に――



 バリバリバリバリッピッシャ――――ンッ!!


 全方位のゴブリンの腕ターゲット直撃ヒットしたと確信させる雷鳴の轟きに密かに悦に浸っていると、


「きゃぁあああああああああああぁっ!」

「あ……」


 悲鳴を上げ僕に抱き着いて震えるヒマちゃんの姿を見て失念していたことに気付いた。

 ヒマちゃんは雷も苦手だった……。


「ご、ごめんヒマちゃん。だけど大丈夫だよ」

「ほ、本当、ですか……?」


 バチッ、バチバチバチッ! バチバチバチッ!!

「大丈夫だ……――って、バチバチ?」


 バチバチっ! バチバチバチッ、バチッ!!


「こ、これはッ!?」


 先程までで突き破られた無数の穴、そこにあったのは黒焦げてただれたゴブリンの腕なんかではなく――


「スライムっ!?」


 これは僕のミスだっ!


 不意打ちのゴブリンの腕を一掃する為にって理由だけで選び事前に闊歩している階層だと聞いていたのに失念して放ってしまった雷魔法が、逆に僕たちの逃げ場を塞ぐ脅威の電気スライムスタンガンを量産して牙を剥けてくる結果になるなんてっ!!


「どうする。マサノリ!?」

「どっ、どうするも何も――っ!?」


 一瞬の躊躇が命取り――


 バリバリバリバリバリッ!


「ぐわあ"ぁああああああああああああっ!!」

「「ぎゃぁあああああああああああっ!!」」


 いっせいに飛び掛ってきたスライムの電撃に僕たちは為す術もなく倒れ伏した。


 全身の痺れいたみに微かに焦げた臭いを感じながら徐々に意識が遠退いていく。



 立ちはだかる小柄で緑色りょくしょく肌の集団に見下ろされる光景を最後に……――


                            BAD END……?











 ピロリロリ~ン♪


 …………………………………………。


 ピロリロリ~ン♪


 ……………………。


 ピロリロリ~ン♪


 …………。


「……ん、ぅん?」


 聞き慣れた音に目が覚めて重い瞼を開けると、ボンヤリとしたに密集した風景が広がって――


 緑色、の……?


 みど……あぁあああああああああああああぁっ!!


「うっぐぅ……!」


 僕たちが置かれている悪夢の現状を思い出し、何とか体を起こしてもう一度確認して……僕は固まった。


 そこで繰り広げられていたモノは――



「あ、っやぁ……ダメ、ですぅ。あぁん……や、やめてく、あぁん……」

「むぅっ、こ……このひきょ――んんっ、くふぅ……や、め……」


 ヒマちゃんとシンディさんが穢らわしいゴブリンの集団に辱しめられている現場で、組み伏せられつつも気丈に耐えるシンディさんの理性はまだ崩れていないからまだマシだけれど――


「ひゃぁん。も、もう……りゃ、らめれすぅん。あっ、あぁ……」



 仰向けで羽交い絞めにされながら全身を弄られ、舐め回されているヒマちゃんに関しては非常に危険な状態だった。


 どれだけ時間が経ったかは知らないけれど、身包み剥され全裸で――って最悪な状況ではなかった、なんて何の慰めにもならないっ!

 あの様子だと僕は知らなかったけど、ヒマちゃんの体はとても敏感なんだろう。既に頬が紅潮して蕩けた瞳になっているし、小刻みに痙攣を起こしつつ漏らす今まで聞いたことないいろっぽい声……あのままじゃ、いずれ絶頂させられて陥落しおちてしまうっ!!


「ヒマちゃ――――――――んっ!」


「ふぅぁっ? ……ふぇ、えっ!? ま、マシャくぅ……っ!!」


 僕の呼び掛けはだった……。


「ひぃぎっ!? ……や、やぁ、み、見にゃ……見にゃ、ま、マシャく……マシャくぅんっ! こんにゃ、こんにゃわりゃひぃをぉ……み、見にゃいれぇぇ~~っ! んひゃぁっ!? あ、あぁっ、ぅんあああああああああああああああああっ!!」 


 僕の存在に気付いたヒマちゃんは絶望の涙を流しながら昇り詰め気絶してしまった……。


 僕の手で昇天そうさせたかった……。


 BBS? そもそもだし、じゃあ、NTR? どっちにしても当然そんな見苦しい言い訳なんかするつもりはない……。


 ただ――


「「「グギャギャギャギャギャっ!」」」


 テメェら……になに穢い手で弄り倒してんだぁっ!?


 すぐにでも殴り倒しに行きたいが、


「ぐっ!」


 行く手を阻む大量の電気スライムスタンガンっ!!



 ピロリロリ~ン♪


  Q・絶体絶命! この危機にあなたはっ!?


    ~  選 択 肢  ~



1・彼女たちを見捨てて先へ進む。


2・彼女が堕ちていく様をじっくりと姦しょ……観賞する?


3・降参するついでに交ざって一緒に愉しむぅ♪



 ………………………………………あ"っ?



 どいつもこいつもふざけんなよ……。


 絶対ぜっての前にひれ伏せさせてやる……。


「覚悟しやがれこの有象無象共っ!」


 の怒りの咆哮と共に電気スライムクズ共が消え失せた。


「ハハッ、最初ハナっから魔法にしときゃ良かったんじゃねぇか……テメェらっ! 覚悟はできてんだろうなぁっ!!」


 怯みながらも特攻しては消滅されていく仲間たちを目の当たりにしたゴブリンカス共は底知れぬ恐怖に蒼ざめ、我先にと逃げ出そうと背を向け――


「させるかよっ!」


「「ぐぎゃ――っ!?」」


 ――たヤツから片っ端に消滅していく。


 の、に手を出す不届き者共には自ら鉄槌を下してやるっ!


 そして、そして、



                       ――――プッツン。



     ※



「…………ん、んんぅ。……――ぅを"っ!?」


 次に気付いた時に視界に飛び込んだのは――


「うぇえええええええええっ!?」



 幾度となく夢見た一つのだった。



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 中途半端で雑なラストですみませんが、将憲視点メイン緋鞠視点サイドはあくまで別物(個人的偏見)でして。

 次話は今話では空白の)投稿予定です。

 重ねて本当に申し訳ありませんが、ただでさえ遅筆で次話までの投稿の間隔が離れている二作品ですが、この度初のカクヨムコン用の執筆諸事情により更に遅れる事をお詫び申し上げます(あくまでを目標にしています)。

 既に一作品を投稿済みで、図々しくてすみませんが【使い魔召喚~特別な存在を求めた結果~】の応援を 宜しくお願い致します。


 間に合うか正直不安しかありませんが、もし間に合わなければ(可能性大)普通に連載作品としてか、不本意ながら未完のままぎりぎりで投稿(応募)しますので宜しくお願い致します。

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こんな冒険イヤだぁっ! 幼馴染みと恋人同士になってイチャつきたいだけなんだぁっ!! 子乙女 壱騎 @ikki-nenootome-0013

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