転生したらラストダンジョン中ボスの息子で、魔王より強くなって世界征服しちゃいます

無限労働地獄

第1話 転生

俺はサトル、享年26歳。


死因は自殺。


会社で過剰なパワハラに遭い、鬱を発症。


俺には両親も兄弟もいない。


人生どうでもよくなって、会社のビルの屋上から飛び降りた。


ぐしゃっ!!!


---


あれ・・・?


俺、死んだんだよな?


俺は目を覚ますと、毛布の中にくるまれていた。


ん?


自分の手を見ると、なんだかすごく小さい。


腕はちぎりパンみたいにムチムチ。


俺、赤ん坊になってね?


これ、いわゆる転生か?


おっと、誰か来たようだ。


「おうおう、げんきかい、ガビ?

 今日もかわいいでちゅね~!

 お父ちゃんでちゅよー!」


言っている言葉は理解できる。


中年の男だ。


でも、妙に顔色が悪い。


顔が青色だ。


2本の角にしっぽまで生えてる。


それに、めちゃくちゃデカい。


身長3メートルくらいあるんじゃねえか!?


もしかして、魔族?


こいつが本当に父親だとすると俺も魔族ということ!?


恐る恐る自分の尻を触ってみる。


・・・!?


生えかけのしっぽがある・・・。


なんということだ、俺は魔族に転生してしまったらしい。


魔法とか使えちゃうのかな?


俺は試しに炎の玉をイメージしてみた。


ボッ!


おお、火がついた!


「おいおいガビ・・・!

 もう魔法が使えるのか!

 こんなことはあり得ない・・・!

 こりゃ、魔界一の天才かもしれん!

 すぐに魔王様に報告を!」


俺、もしかして、神童?


---


時が経って5年。


転生から5年たって、色々とわかってきたことがある。


ここは魔界で唯一の魔王の城。


いわゆるラストダンジョン。


んで、俺の父親はここの中ボス・バルタザールだ。


俺は神童として魔界で期待されていた。


魔王ゾル=ゴナスの息子ゾル=サリオンも同じく神童で、俺の幼馴染だ。


ちなみに、サリオンより俺のほうが桁違いで強い。


そのことは本人には隠している。


ちょうど、大人が子供とお相撲さんごっこをしてわざと負けるような感じで、稽古ではいつもわざと負けている。


中ボスの息子がラスボスの息子より強かったら、ちょっとまずいだろう?


そんなある日、魔界の格闘試合が開かれた。


俺とサリオンは子供の部に出場し、決勝まで進んでいた。


その決勝戦。


当然、俺はわざと負けるつもりだ。


「やいガビ!

 お前が俺に勝てるわけなかろう!」


サリオンが俺を挑発する。


「ま、まあね。

 さすがは魔王様の息子。

 でも、俺だって中ボスの息子。

 簡単には負けないさ!」


試合のゴングが鳴った。


いざ、勝負開始。


俺は、最も低位の魔法・ファイアを放つ。


「ファイア!」


すると、サリオンも同じくファイアで対抗してきた。


「ファイア!」


さて、俺のファイアは火力調節をしてあるから、サリオンのファイアに押し負け、俺は負ける。


はずだった・・・。


俺の思惑とは裏腹に、俺のファイアは余裕でサリオンのファイアを消し去り、サリオンを黒焦げにしてしまった・・・。


火力調整ミスったかな。


「おーっと、サリオン選手!

 ガビ選手のファイアで黒焦げ!

 戦闘不能だー!

 よって、優勝はガビ選手!」


審判が勝利を告げた。


俺、優勝しちゃったよ。


これじゃあ魔王のメンツ丸つぶれ。


俺はなんらかの制裁を受けるんだろうなあ、まずいことしちゃった。


---


案の定、俺は魔王に呼び出された。


「お前のしたこと、わかっておるな?

 魔王であるわしの息子より強い子供がおってはならんのだ。

 わしの立場が無くなってしまう。

 そこでだ。

 お前には2択選ばせてやる。

 この魔王城を去り、野良の魔物として生きる。

 もしくは、このわしを倒し、魔王となる。

 どちらかだ。」


ほほう。


この2択は実質1択。


魔王に勝てるわけないから、ここを出て行けということだろう。


でも、俺ならワンチャン、魔王に勝てるんじゃね?


そう思った。


根拠はある。


俺は俺の実力を誰にも言わず、ただ独り、影で黙々と稽古に励んだ。


そして、最強魔法の一角、カタストロフィを習得しているのだ。


親父の持つ魔導書通りにやってみたら習得してしまった。


しかし、この呪文は詠唱に時間がかかる。


だから、術式を紙に転写し、すぐに発動できるようにしてあった。


護身用にこの術式用紙を肌身離さず持っておいてよかった。


俺は魔王の問いに答えた。


「でしたら、あなたを倒します。」


魔王は一瞬驚くも、冷静に返す。


「ふん。生意気なガキよ。

 では、少し懲らしめてやらねばな。

 魔王の何たるかを教えてやるわ!」


魔王がそう言った瞬間、俺は術式用紙をかざし、唱えた。


「カタストロフィ!!!」


そして、一本の光線が魔王のみぞおちを貫いた!


「ぐぬう・・・。」


「よし、魔王にも効いたぞ!」


「お前、なぜそんな技を使える・・・。」


しかし、さすがは魔王、致命傷とまではいかなかった。


だが、魔王はもう身動きも取れない様子。


「どうだい、魔王様。

 俺が魔王に変わってやってもいいんだよ?」


「ぐぬぬ・・・。

 ちょ、ちょっとタンマ!

 わかった、ガビ君が強いのはよーくわかった!」


「で、どうするよ、魔王様?」


俺はニタニタしながら魔王を問い詰める。


「ガビ君はわしより強い!

 だけどな、魔王が5歳児に負けたとなってはあまりに恥ずかしい。

 わしがガビ君より弱いことは内密にな!

 その代わり、富、名声、女、好きなだけ用意する!

 当然、魔王城から出ていく必要もないぞ!

 それでどうだ??」


富、名声、女ね。


悪くない。前世では何一つ手に入らなかったものだ。


「ふん。まあいいだろう、魔王様。」


こうして、俺は裏の支配者となったのだ。


<作者あとがき>


次回、魔界で女遊びしまくり!?


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