第15話 私闘決着
「
魔眼を発現した後に創った、俺のとっておきの
「藍の
一つの螺旋は13に数を増やす。螺旋回転するそれをさらに渦巻き、藍い光の束を作る。だが、まだ粗い。もっと密度を挙げろ。
「
鋭く螺旋を描くレーザー145本。その密度から、見た目は一筋の極太光線。そのまま力の奔流は白夜さんを優に飲みこむ。ただ、この攻撃にも弱点はある。俺はこのまま、魔眼を普段の13倍稼働させたままにしなければならない。コピー元の魔法陣に魔力を送り続けないといけない。それに、白夜さんだってただただやられているわけじゃない。俺の攻撃で視界どころか、気配を察知するのだって難しいはずなのに、エフェクトの発動箇所を少しづつ修正し、だんだんと俺の方に迫ってくる爆発。一秒経過、右眼が熱い。二秒経過、痛い。三秒経過、痛みが脳の方へと広がってくる。四秒経過、血の涙が出てくる。五秒経過、意識が、、、、、、。さっき、『根競べといきましょう。』なんて言っていたけど、
「はは、なっさけねえ。」
いくら気持ちがあったところで肉体はとっくに限界を迎えていて、脚に力が入らず後方へと倒れる。誰かが支えてくれてるわけではないのに、ゆっくりと落ちていく。いや、ただそう錯覚しているだけで実際はただ倒れてるだけか。そのままスローモーションの中、落ちていく。あまりの痛みに瞳を閉じる。まっ。俺にしては十分やったよな。丁度そんなことを考えていると突如爆風が押し寄せ、地面に叩きつけられる。最後の最期で白夜さんは俺の立っている位置を突き止めたのだ。
ドクン、ドクン、ドク。心拍が安定してくる。それでも、もう立ち上がれそうにない。
「はは、悔いはないな。」
目を閉じて大の字になって寝転がる。そのまま横になっていると
「憶人~!!」
ゴフっ。魔夜の声が聞こえたかと思ったら鳩尾に二―が極まる。生理反射で上体を起こし、魔夜とおでこをぶつけ、再び地に伏せる。魔夜が
「ううー、痛い。」
なんて言ってるが無視だ。まずは白夜さんの上体っを知らなくちゃいけない。俺は、立ち上がるのもしんどいのでそのまま、へそを軸に腕で体を回し、レーザーで焦げた地面の先を見る。すると、
「じっちゃん。」
白夜さんも地に伏していて、その傍には先輩がいた。俺は魔夜に肩を借り、立ち上がる。一歩一歩、内臓に響くが我慢だ。
「憶人・・・・・・。」
なんとも言えない声で俺を見上げる先輩。悪いが、今はなしたいのはあんたじゃない。魔夜に任せ、白夜さんと向かい合い、対話する。お互い燃え尽きて頭も冷えただろうから。
「白夜さん、あんたは最強の異能力者だろうけど、俺は魔夜同様、””まほうつかい””と呼ばれてたんだ。あんたには負けない。」
すると白夜さんは怒るわけでもなく、悔しがるわけでもなく、ただ、
「魔夜くんから話を聞かされていた。お前が魔砲使いだってのも聞いていた。だから、戦い方はわかっていたよ。ただ、まさかこれほどだとは思わなかった。」
力なくそう言った。
「そうか。知ってたんだな。白夜さんも、魔夜も。」
急に俺が振り返り視線を下に向ける魔夜。まあ、気まずいよな。さっ、こっからが本題だ。
「白夜さん、まずはお互い語りませんか?俺らは互いを知らなさすぎる。だからこうして擦れ違う。治安維持隊でもこんなにすれちがいがあるっていうのに、こんなんで革命が起こせますか?」
ふっ。白夜さんは笑った。俺をか。あるいは俺に説教をされてる自分を嗤ったのか。
「はは、そうだな。わかった。・・・・・・鏡子、茶を淹れてくれないか?」
「はい、わかりました。4、いや5。っと、今日は客人もいるので8名分ですね。ツクモン、お願い。」
そう言って、鏡子さんが手を二回ならすと家の方から、箒が4本飛んできて庭を整地し始め、やかんはひとりでに、シンクに向かい、蛇口から出てきた水を受け止め、コンロに向かい、火にかけられる。
「ささっ、戻りましょう。」
鏡子さんに先導される形で、俺と白夜さんはそれぞれ魔夜と先輩に介抱され家へと向かう。客人が縁側で待ちぼうけしている我が家へ、重い重い足を引き摺って。
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