病んでいる兄弟に愛されて逃げられそうにありません
るい
出会いと直ぐに
第1話
何でこんなことになったのか全く分からない。
目の前で微笑む男性は、全く視線を逸らさず真っ直ぐに私を見つめてくる。
な、なんでそんなに見つめてくるんだろう。
気まずさから私も笑みを返したが、全く何も変わらなかった。
友人から強引に誘われるがまま連れてかれたお店でいきなり始まってしまった合コン。
あれよこれよと自己紹介する番が来てしまい、名前と好きな物を言い終え、ジュースを飲んでいた時だ。
ふと気付いた視線にぎょっとした。
さっきから目の前に座っている男性から見つめられている。
「紗奈ちゃんって、可愛いね。紗奈ちゃんみたいな子タイプなんだ」
「っ、ごふっ」
飲んでいたジュースを思わず吐き出しそうになってしまった。
ゲホゲホと咳き込むと、大丈夫?と声を掛けてくれたけど飲んでいる最中にそんなこと言わないで欲しかった。
どう考えてもお世辞にしか聞こえない。
「あはは、気を使わせてすみません。浮いている私に声掛けてくれたんですね」
合コンのメンツは4人ずつだが、明らかに私だけ浮いてる。
美人揃いなのに対し、私1人だけ地味だし、やる気が無いからか他の男の子からは声を掛けられなかった。
気を使ってくれたのだろう。
でも、目の前にいる彼ーー佐久間さんは他の男の子のメンツに比べて格段に美形な人だ。
そんな彼にもちろん他の女の子が狙わないはずはなく。
話しかける機会を今か今かと伺っていたのに。
私に声をかけたので、ギロっと友人を含め女の子から睨まれてしまっている。
チクチクと刺さる視線に、今すぐ家に帰りたくなった。
早く、終わらないかな……。
人の頼みを断れない性格な自分が恨めしい。
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