青のエスキス
菫野
青のエスキス
空にゆびで触れやうとして輪郭は解けてゆけり青のエスキス
小麦粉に隠れたならばフェトチーネともなりきみの舌を待ちたし
夢に『月のうた』のたの字がかすれたることさびしがる紫の上
安西冬衛全集揃ひ一万と告げられし耳 たかき耳鳴り
吹く風より笛をとりだす手つきにて医師よわが尾を切断すべし
月見バーガー蔓延る街で逃げまどふ青きひかりを小壜につめる
紙のはがし跡より天使あらはれて典雅にフラジョレットを吹けり
まぼろしのけもの来たれり露草は蹄の触るるたびに枯れゆく
解かれた胸ゆ零るる運河また運河にうつるさかしまの家
水に栗ひたして時を待ちながら壊したければ壊すがいいと
花柄のワンピース着て岸に立つわたしの翅が海峡を越ゆ
青のエスキス 菫野 @ayagonmail
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます