第70話

まゆは俺の前に周り「聞きたいことがあるんですが」と言葉を発した。


「そのキーホルダーどうされたのですか」


実はこのキーホルダーはまゆが俺にくれたものだった。


自分が身につけていたものを俺にくれたのだ。


「私、同じキーホルダーを持っていたのですが、無くしてしまって、中々手に入りにくいものなんです」


「覚えてねえ」


「そうですか」


「そこ、どいてくんねえかな」


「あっ、ごめんなさい」


これ以上一緒にいたら、俺はまゆを抱きしめちまう。


俺はその場を後にした。


まゆはずっと俺の背に視線を送っていたことが、痛いほど感じられた。


まゆ、無事でよかった、でも俺のせいで、辛い思いをさせちまったな、ごめん。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る