第2話

「すみません、ご迷惑をおかけして」


「どっか痛えとこあるか」


「ありません」


「そうか、じゃ、送ってくから支度しろ」


家に戻ったら私の人生終わっちゃう。


「あのう、お願いがあります」


「なに?」


「私の恋人になってください」


「はあ?」


一瞬時が止まったかのような時間が流れた。


「あっ、間違えました、恋人の振りをしてください」


その男性はいきなり大声で笑い出した。


「突然まさかのプロポーズされたのかと思ってびっくりしたよ」


「ごめんなさい」


「恋人の振りって、理由を話せ」


私は話を始めた。


「私は三十六なんですが、父親がこのままだと嫁に行けないと、お見合いをさせようとしています、でも私は好きな男性とお付き合いをして、結婚したいんです」


「ほう、それで見合いを断る口実に俺に恋人の振りをしろというわけか」

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