第56話

「ごめんなさい、私が軽率な態度を取ったから、颯に嫌な思いをさせて」


彼は悲しげな表情で私を見つめた。


「颯が大好きなの、颯の側に居させて?」


私は必死に懇願した。

彼は私の手を引き寄せ、抱きしめてくれた。

そして唇を重ねた。

彼はベッドルームへ私を運び、首筋から鎖骨へとキスの雨を降らせた。

その雨は朝まで止むことはなかった。


朝、目が覚めると、彼は先に起きていた。


「凛、おはよう、アパートの荷物一緒に取りに行こうか」


彼の突然の言葉にビックリしてしまった。


「颯、おはよう、今日お仕事は大丈夫なの?」


「ああ、休み取った」


「ほんと?」


私の顔は一気に笑顔になった。


「やっぱり凛は可愛いな」


「具合は大丈夫?」


一番気がかりなのは、颯の体調だ。


「大丈夫だよ、凛と一緒だと体調凄くいいんだ」


「そうなの?良かった」


私はこのまま一日でも永く、彼と一緒に生きて行けますようにと祈った。


「祐に話しなくちゃな、俺達一緒に住むことになったって・・・」


「そうだね、アパートも解約しちゃったからね」


「今日、二人で祐を迎えに行くか」


「そうね、あと、お祖母様に連絡しておかないと、また心配させちゃうから」


彼と二人で、アパートに荷物を取りに行った。

そしてお祖母様に連絡して、祐くんを迎えに行った。

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