第45話

凛、俺はやはり自分のわがままを押し通せない、

お前の側にずっと寄り添ってやる事が出来ない。


俺は凛の同情を利用しちゃ駄目だよな。

自分だけ側にいて欲しくて、一年後には消える事わかっているのに結婚なんて・・・凛を一人にするなんて・・・

それより俺さえ我慢すれば、凛は嫌な思いをしないで済むんだから。


インターホンが鳴った。

凛だった。


「颯さん、夕飯の支度だけさせてください、もう材料買っちゃったんで」


「わかった、今開ける」


オートロックを開錠し、エントランスのドアを開けた。

エレベーターで上がって来た凛は、部屋までの通路を走って騒がしいヒールの音が俺の部屋の前で止まった。


「颯さん、開けてください」


凛は走って来た為呼吸が乱れていた。

俺はドアを開けた。

そこにはハア〜ハア〜と息を切らしている凛の姿があった。


「凛、走って来たのか」


「だって、颯さんが心配だったから・・・」


さっきの俺の決意は無かったかのように、凛の腕を引き寄せて抱きしめた。

バサっと買い物のビニール袋が床に落ちた。


「凛」


俺は堪らず凛にキスをした。

凛は俺のキスを受け入れてくれた。

それでも俺は凛の気持ちに気づけなかった、俺に対しての気持ちは同情ではなく目一杯の愛情だと言う事を・・・

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