第七章 彼の決意

第43話

ある日祐くんから連絡が入った。


「凛ちゃん、今度凛ちゃんのうちに泊まりに行ってもいい?」


「祐くん、それは構わないけど、ちゃんとお祖母様とパパに了解得てからね」


「お祖母ちゃんにはちゃんと言ったよ、後パパだね」


その頃まだアパートは解約しておらず、丁度助かったと思った。

でもこのままにしておくわけには行かず、今晩祐くんから連絡が入る旨を彼に伝えた。


「祐くんが今度私のアパートに泊まりたいとの事です、颯さんに了解得る為連絡してくるって言ってましたよ」


「そうしたら、その日は凛はいないって事か」


「そうなります」


「アパートは解約してなかったんだ」


「はい」


彼はちょっと寂しそうな表情を見せた。


「わかった、じゃあ今日はアパートに帰った方がいいな」


「颯さん?」


「しばらく留守にしていたから、掃除したり色々あるだろう」


「はい、それじゃ、そうさせて貰います」


この時彼の気持ちを読み取る事が出来なかった。

私を縛り付けておく事は出来ない、自分のわがままを押し通せないと決意していた事を・・・

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