第35話

私はショックが大きすぎて何をどうすべきなのか考えが纏まらなかった。


大和さんは私に対して本気って事?

結婚したいと思ってくれている?

祐くんのママになってほしいって事?

でも大和さんは一年の余命宣告を受けている、だから一年しか一緒にいられないって事?

その後祐くんを頼むって事?

そして私の気持ちは大和さんに向いていないと思い込んでいるって事?


一度に押し寄せて来た事を処理し切れない自分に戸惑っていた。

彼が一番辛いのに、私を信頼して全てを話してくれた彼を一人置き去りにしてしまった。


どうしよう、彼の元に戻る?このまま離れる?

このまま彼とずっと会わずに過ごせるの?

でも一年後にやってくる永遠の別れに耐える自信が無い、いや今も既に彼と会わずに過ごせない、

急に彼が心配になり、戻る事にした。


タクシーで彼のマンションに向かった。

オートロックの部屋番号を押すと、彼のか細い声が私の心を痛めた。


「はい、どちら様ですか」


「凛です」


「凛?今開ける」


マンションのオートロックが開錠された。

彼は私をロビーまで迎えに来てくれた。


「凛」


「大和さん」


私達は人目も憚らず抱き合った。

そしてエレベーターで彼の部屋に向かった。

部屋に入ると、彼は私の唇を塞いだ。

首筋から鎖骨へ彼の唇は移動して、胸の膨らみに押し当てた。


そのまま私を抱き上げてベットルームへと移動した。


「どうしようもないほど凛が愛おしい」


「大和さん」


「颯って呼んでくれ」


「颯」


「凛、愛してる」


この夜私は彼と一つになった。

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