第一章 カリスマ美容師との出会い

第1話

涼風 凛、四十歳独身、なぜこの年まで私は独身なのか。

過去の恋愛がトラウマになり、一歩踏み出す勇気が無い。

また完全に名前負けしている。

ちゃんと向き合って貰ったことがない。

あ〜っ、哀しい。


私は下を向いて歩くことが多くなった。

そんな時、私の目に止まったのは落ちているスマホ。

スマホに目をやる、周りを見渡す、またスマホを見る、やっぱり落ちている事を確認する。


スマホを拾い上げると、スマホのバイブがブルブルと振動した。

美容室の名前がスマホの画面にあった。


えっ?美容室から電話?どうしよう。

出る?放っておく?

私は迷った挙句出る事にした。


「もしもし」


「良かったあ、今何処ですか」


待ち合わせしていたのかな?でも私じゃないし。


「あのう、私このスマホの持ち主じゃないんですけど・・・」


「わかってます、俺が持ち主なんで・・・」


あっ、持ち主からの電話、ほっと胸を撫で下ろした。


「今何処にいますか?取りに伺います」


「私が届けましょうか?お仕事中ですよね」


平日の昼間、普通の人は仕事中だ。

それに引き換え私はと言うと、派遣で契約切れでニートである。

そう、私は暇なのだ。


「そうですか、じゃお言葉に甘えて、渋谷駅の左の路地を少し入った所のフェニックスと言う美容室です」


「わかりました」


「お名前を伺ってもいいですか」


「涼風 凛です」


「へ〜、楽しみだな」


「あのう、名前負けしてるので期待しないでください」


「そうなんだ」


私はスマホを届けに美容室へ向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る